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帰省したナタナエルは
愛しいクララを目前にして
一時的に平静を取り戻したようだったが
やがて悪夢に苛まれて
僅かながら常軌を逸してくる

分別のあるクララはこれに気付くと
真っ向から否定しはしなかったものの
あくまでも姿勢は崩さず

しっかりして!
全部、思い過ごしよ!!

クララはそう唱えながら
ナタナエルの熱狂に乗せられて
一緒におかしくならナイように
なるべく冷静に接するようにしてた

しかしナタナエルにはこれが
狂人を扱うような態度に感じたようで
まるで取り合ってもらえてナイと
クララに対して腹立たしささえ覚えるようになる

いや、ナタナエルにしてみたら
最初の手紙の返信を受け取った時点から
冷静なクララに腹を立ててて
だからこそその返信はクララにでなく
ロータルに宛てたのだろう

晴雨計売りのコッポラがどうであれ
老弁護士のコッペリウスは確かに存在してて
事実、家で爆発が起こって、父親を失ったのだから
コッペリウスの忌むべき存在自体が
ナタナエルにとってはトラウマなので
そこを認めてくれなくては気が済まなかった

だいたい男は自身の中の熱狂を語りたがるモノだし
それを受け入れてくれる者を友や仲間と呼び
反駁する者を敵と見做すモノ

そして通常、男は女を見下してて
女にはどうせわかりっこナイと見做して
熱狂を語ったりしナイモノ
(ナタナエルもロータルにだけ打ち明けるつもりで
ロータル宛ての手紙しか書いてなかった)

でも稀に
女に対してもそれをやってしまう場合
男にのぼせてる女だけがその様子を真剣に捉える

なぜなら男の熱狂を受け入れてやれば
男が自身を唯一の味方と思ってくれると直感して
是非でなく、自身が可愛くて同調するのだ

そして女がこれまでの人生に満足してなければ
「新しい世界観」を齎してくれた男を
「神」のように敬ってしまったり
「忠実な僕」として男に仕えるようになるやも・・・?!

でもまともな女ならば
男が熱狂を語ってるような状態なんて
単に現実に向き合えなくなってるだけにしか見えず
そんな心弱い男は相手にしナイ

子供を産み育てる本能があれば
そういう自身との葛藤にさえ負けてる男は
危険だと察知するはずだから
絶対に享受しナイように
熱狂に対して聴く耳なぞ持っちゃいナイw

クララはしかし
それが既に愛を誓った相手だったので
冷静な彼女はもちろん聴く耳は持たずとも
なんとか正気を取り戻してもらおうと
ナタナエルを慎重に取り扱った

でもそんなクララに気付かず
取り合ってもらえなくて苛立つナタナエルは
自身の心象風景のような怖ろしい詩を書きとめる

それはナタナエルとクララの婚礼の祭壇に
コッペリウスが現れて
クララの目をくり抜いたと思ったら
その目玉を投げつけられ・・・などとゆー
病的な描写が続くモノだった。(゚д゚lll)ギャボ

いつもならナタナエルのつまらナイ詩を
編み物をしながら聞き流してやってたクララだったが
今回ばかりは聞き流すワケにはいかず
面と向かって完全否定してしまい
クララに邪険に扱われてると感じたナタナエルは
かっとなってクララを突き飛ばして
捨て台詞を吐いて走り去った

Du lebloses, verdammtes Automat!

Google翻訳
→あなたは生命の欲しいオートマトン!

大島かおり訳
→きみはいのちのない自動人形だ!

クララを傷つけたとして
兄のロータルはナタナエルに詰め寄り
遂には決闘をするコトになるが
その場に現れたクララの悲痛な叫びで
2人共冷静さを取り戻し
ナタナエルは正気も取り戻して
クララに詫びた

それにしたって
ナタナエルのクララに対する見解が
「ロボットのように冷たい」だなんて
バカげてる。(´д`;)ギャボ

まあでも熱狂に執り憑かれた男は
それに同調しナイ賢い女を
バカ扱いしたがるほど
大バカだ!!

クララが本トに冷たかったら
いや、冷たくなくても
ナタナエルを心底愛してなければ
最初の手紙が来た時点で
呆れて見捨ててしまってるだろうに・・・

それなのに、ナタナエルの方こそが
クララを捨てようとするのは
他の女に惚れたからだ・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

それはスパランツァーニ教授の娘のオリンピアで
容姿の類稀なる美しさもさることながら
ナタナエルにとっては
唯一無二の自身の理解者に思えた

なんせナタナエルが話をする際
オリンピアは一言も発せずにじっと見つめ続け
話終わってしかと手を握れば
「あぁ・・・」と恍惚の溜息を漏らしながら
手を握り返してくるような
ナタナエルの理想の女性だったからだ

男が理想の女性と言うのは
えてして自身に対して都合好い女だ

例えばくだらナイコトに熱狂してる自身に
文句一つ言わず認めてくれる女

大酒呑んでも
大博打を打っても
どれだけお金にだらしなくても
どれほど女にだらしなくても
一切赦してくれる女

知り合いの女の中では1番の美人で
賢く心優しいとも周囲に認められてて
そんな女をモノにしてる男と
羨望の眼差しを受けていられるように
いつも配慮してくれる女

やりたい時にやらせてくれて
かまいたくナイ時には放っといてくれて
やってる時は奉仕してくれて
感じてくれて愉しませてくれて
それでいて妊娠し難い女w

もうね
挙げたらキリがナイwww

そういうのを満たしてくれる女は
最後の「やりたい時に・・・」のくだりを外せば
唯一、これらを赦すような女って
母親だったりする、しかも愚かな母親!

そうしてナタナエルは
情の深い人間の女性のクララを厭い
からくり仕掛けで動くだけのオリンピアを愛する

でもナタナエルは当初
オリンピアが精巧に出来たオートマタだったため
人間ではナイとは気付かず・・・

恋は盲目
これはまさにナタナエルにあるような言葉

そしてオリンピアがオートマタと知って
ナタナエルは遂に壊れてしまい
最期には飛び降り自殺を図るに至るのだった

とゆー、理想の女性を求める男の憐れさを
戦慄のサイコホラーに仕立てた最高傑作だろう!!

とはいえ
話が終わっても
何一つ謎が解けてなかったり・・・

結局のトコロ

砂男は本トにいたのか?

コッペリウスは砂男だったのか?

ナタナエルの父はなぜコッペリウスと密談してたのか?

コッペリウスと晴雨計売りのコッポラは同一人物だったのか?

物語は終われど
謎は果てしなく続くのだった

ホフマンの『砂男』が
2014年に光文社古典新訳文庫から出てて
てっきり最近の訳と思い込んでたら
1970年代に旺文社文庫から出てたのと同じく
大島かおり訳だった

かつての旺文社文庫では
『黄金の壺』とのカップリングだったが
光文社古典新訳文庫では
『クレスペル顧問官』と『大晦日の夜の冒険』が
収録されてた

要するに
オペラ『ホフマン物語』の原作3編が
収められてたってワケ^^

オペラ『ホフマン物語』の概略は
Wikipediaでは以下のように説明されてる

主人公の詩人ホフマンが、歌う人形のオランピア、瀕死の歌姫アントーニア、ヴェネツィアの娼婦ジュリエッタと次々に恋に落ちるが何れも破綻するという内容。

一言で言えば
詩人の悲恋が主題で
酒場での過去の悲恋の追想仕立てのオペラ

但し、原作の方は
主役は著者のホフマン自身でなく
オペラにしたオッフェンバックの脚色

以下に紹介するのは
オペラでなく原作のあらすじで
まずは『砂男』から・・・

主人公の大学生の青年ナタナエルが
自身が陥ってる危急の事態を
旧友ロータル宛てに綴った手紙から
この物語は始まる

危急の事態・・・それは
数日前の恐怖体験なのだが
他人からすれば取るに足らナイコトだった

なんせ、たかが晴雨計売りの来訪だw

晴雨計=気圧計で
英語ではbarometerだが
これを行商してるってのがピンと来ず
プロジェクト・グーテンベルクで原文をチェック
Der Sandmann

原文では Wetterglashändler とあり
Google翻訳にかけるとバロメーターディーラー

なるほど晴雨計売りだな

で、晴雨計(気圧計)は
アマゾンだとこんなのを売ってたりするが

売り歩いてたので、こういうタイプかと思われ

そしてその晴雨計売りが
ナタナエルにとって恐怖の対象だったのは
過去の忌まわしい記憶の中の男にそっくりだったからだ

もし同一人物だったとしたら
記憶の中に沈んだはずの恐ろしい出来事が
また起こるのではナイか?!

そういう恐怖に捉われてるのだった

ここで冷静に考えれば
この後、長々と過去の告白をせずとも
同一人物でナイと証明できれば
恐怖に捉われる必要はナイ

自分が読み進みながらそう思った時に
以下のような一文が挿入されてた

いいとも、笑ってくれ、肚(はら)の底からぞんぶんに笑ってくれ!ぜひとも、そうしてほしいよ!だがなんてこった!そう頼んでいるぼくは、髪の毛が逆立っているんだ。フランツ・モールが狂わんばかりの絶望にかられて、笑い飛ばしてくれとダニエルに頼んだときのように。――さて、本題にはいろう!

いや、待てw
本題はその晴雨計売りが同一人物かどうかで
過去のトラウマは同一人物と確定されてからの話だ
落ち着けwww
と、返したくなるのは自分だけでなく
この書簡を第三者の立場から読む人全員に
共通の突っ込みドコロだろう

ところがこの手紙を開封するべきロータルは
さりげなく挟んだ「フランツ・モール・・・」のくだりで
全身の血が燃え滾ってしまい
冷静さを失してナタナエルに同調し
突っ込む余地なく読み進んでしまうだろう!!
と、自分は突っ込みつつも感心した!

フランツ・モールなる人物は
シラーの戯曲『群盗』の登場人物で
孤高のダーク・ヒーロー的な役ドコロだ

なんせ敵対してるのが実の兄や父で
本来なら愛し合い赦し合うべき家族なのだが
兄しか認めナイ父親に対して
弟は可愛さ余って憎さ100倍で
復讐に走ってしまうのだ

そもそも復讐なんてモノは
やり遂げたトコロでハッピーエンドには至らナイ

幸せになりたいと思って
努力が実るから幸せになるのだが
他人を呪い、陥れる代わりに何かを得たって
ましてや、それが他人でなく
家族に対してともなれば
果たすまで常に葛藤があるだろう

復讐を遂げれば
その葛藤さえなくなっってしまうので
寂寥感しか残らず
フランツがその心情を吐露するのが
このキメ台詞だった

このシラーの戯曲は
とにかく当時の若者を熱狂させて
現代に例えれば
ロック・コンサートのようなノリか?!

ナタナエルもロータルも
その熱狂を体験してたのだとしたら
この一文がロータルの冷静さを消し飛ばし
熱狂の渦に呑み込まれてみれば
ナタナエルに狂気を呼び覚ます原因に対しても
共感を促せると直観したのでは?
(とゆーのは勘ぐり過ぎ???)

続けて
ナタナエルの幼児期~少年期の
トラウマとなった恐怖体験が長々と綴られるが
かいつまんで要点を説明すると
トラウマになったのは
爆発によって父親が死んだからだろう

その爆発は夜中に父親の部屋で起きたのだが
老弁護士のコッペリウスが
父親を来訪中で一緒にいたのだった

だがしかし
爆発直後から姿を消して
以降、行方をくらませてしまったのだ

コッペリウスはナタナエルの家に
ランチを食べに=昼間にやって来てたが
その醜怪な外見と不愉快極まる言動は
子供の恐怖心を煽るには十分過ぎた

でもまさか夜分遅くに
父親を訪問する砂男の正体がコッペリウスだとは
ナタナエルは10歳になるまで知らずにいたが
ある晩、好奇心に駆られたナタナエルは
父親の部屋に隠れて砂男を待ち伏せしてみれば
なんとコッペリウスだったのだ!

父親を訪ねてくる男が砂男だと
ナタナエルが信じてたのは
子供たちを寝かしつけようとする母親が
「砂男が来るから寝なさい」と言ってたからだ

更に砂男が来るコトについて
婆やに詳細を訊いてしまったのが不味かった

寝ようとしナイ子供の目に砂をかける
ってトコロまではフツーの伝承の範囲だが
それを血だらけになって目玉が飛び出すまでやって
しかも飛び出した目玉を袋に入れて持ち帰り
半月の巣にいる砂男の子供らが
曲がった嘴で啄むんだなんて脅かすのだ!!

そして実際にあったコトなのか
ナタナエルが恐怖の余り
夢と現実の区別がつかなくなってるのか
待ち伏せしてるのが見つかった時
コッペリウスに目玉を取られそうになったり
手足の関節を外されて(?)
別の場所に付け替えられたり(?!)
怖ろしい目に遭って
しばらく寝込んでしまう。(´д`;)ギャボ

そうして老弁護士コッペリウスが砂男で
最近現れたコッペリウスにそっくりの晴雨計売りが
ジュゼッペ・コッポラと名乗ってるコトを
最後に書き添えて手紙を締め括る

ところで
ナタナエルはこの手紙を
親友のロータルに宛てて書いたが
動揺してたせいか
ロータルの妹のクララ宛に送ってしまってるw

実はロータルとクララの兄妹は
ナタナエルの遠縁にあたり
両親を亡くしてからは
ナタナエルの一家に引き取られてて
クララはナタナエルと既に婚約をしてた

ナタナエルが家を離れてるのは
物理学の講義を聴くためだったが
それによって学歴にハクをつけるだけか
プロフェッショナルを目指すのかは別として
それは就職に繋がるだろうし
職業に就かなければ結婚は困難だろうから
ひいては婚約者クララのためでもあったワケだ

それなのにトラウマにやられたナタナエルは
先述のような手紙をロータルに書いて
しかも宛名を間違えて
クララに読まれてしまったんである。(゚д゚lll)ギャボ

まああんな手紙を読まされたら
ナタナエルがかなりヤバイ精神状態だと
誰だって危惧するだろうから
クララが特に理性的とか合理主義でなかったとしても
手紙の返信には遠回しにでもこう書くはずだ

しっかりして!
全部、思い過ごしよ!!

そんな返信を受け取ったナタナエルは
クララにではなく
またロータル宛てに手紙を書くが
少し冷静さを取り戻したらしいナタナエルは
・物理学のスパランツァーニ教授の講義を受けてるコト
・そのスパランツァーニ教授がイタリア人で
晴雨計売りのコッポラと古くからの知人であったコト
・スパランツァーニ教授の娘のオリンピアのコト
などを書いてきてて
2週間後には家に帰るともあった

と、ここまでは
これまでの3通から構成される書簡体文学で
一切の説明などがなく物語が展開するも
突然、著者が読者に語り掛けてきて
手紙からだけでは読み取れなかった部分の
補足説明的なモノが挟まれる

そこに続く物語は
次の記事に譲る・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ