コンテンツへスキップ

オオカミの名前ならハリーに決まってる

ヘルマン・ヘッセの『荒野のおおかみ』のハリー・ハラー由来だが
そう思って作ったこのピンク色のオオカミは
どうやら女の子だったらしく、ハリーってカンジではなかった

名前には謂れがなくてはならナイって信条があるため
テキトーにはつけるコトができず
次の候補はアーネスト・シートンの『狼王ロボ』から
雌狼の名を借りてブランカとしようしたが
あれは白いからブランカ(Blanca)なのであって
モモイロだったらロサーダ(rosada)だw

しかしそれではまるで意味がなくなってしまうので
『荒野のおおかみ』に戻って、相手役の女性の名にしようかと・・・

荒野のおおかみ (新潮文庫)狼王ロボ シートン動物記 (シートン動物記) (集英社文庫)

Hermine(ヘルミーネ)、これはHermanの女性形だから
作中ではハリーの相手役なれど、実質的にはヘッセのアニマ像だろう
もちろんヘッセが自身をハリーに投影したのは言うまでもナイ

既にHermineから「へるちゃん」と呼び始めてたので
確定する前に今一度Hermineを調べてみると
フランス語読みだとエルミンだのアーミンになってしまうと知って
Hermineにするのを躊躇しつつ、ふと頭をよぎった

あれ?
HermineってHermioneとは1文字だけ違うけど
もしかして元は同じ???

ググりまくっても確たる証拠は得られなかったが
むしろHermineと関係なくともHermioneが好い気がしてきた

Hermioneは『ハリー・ポッター』のせいで
日本では英語発音のハーマイオニーが主流だろうし
名前からくるイメージもハーマイオニー=エマ・ワトソンで
知性を兼ね備えた美貌の魔女なのだろう

ハリー・ポッター コンプリート セット (8枚組)(初回生産限定) [Blu-ray]

でも『ハリー・ポッター』以前なら
Hermioneはギリシア語読みのヘルミオネーで
トロイ戦争の際にヘレネーに捨て置かれた娘の名だ

いや、ヘレネーが留守の夫を裏切って
ハンサムな他国の王子(これがトロイのパリスなのだが)と不貞の末
娘のヘルミオネーを捨ててまでの逃避行を決行したせいで
トロイ戦争が勃発するに至ったのだ

まあ、そうしてヘレネーがトロイ戦争の引き鉄を引いたのも
アフロディテの差し金なのだがね

The Trojan War トロイ戦争

それにしても改めて考えるとなんか似てね?!

ハリー・ハラー(Harry Haller) / ヘルミーネ(Hermine)
ハリー・ポッター(Harry Potter) / ハーマイオニー(Hermione)

これだけ見てると作者がヘッセのファンで
リスペクト的にこの名前を使ったように思えてくる
そうだとしたら、ハリー・ポッターとハーマイオニーはハッピーエンドにはなるまいて
実際、ハーマイオニーはロンと結婚したらすぃし

ところで『荒野のおおかみ』は原題がSteppenwolfで
カナダにはかつてそんなバンドがあった
とはいえ、そのバンドのメンバーがヘッセ・ファンだったワケではなく
プロデューサーがそう付けた、とWikiにある

Steppenwolf (BORN TO BE WILD)イージー★ライダー コレクターズ・エディション [DVD]

そうと知ってがっかりしたが
それとこれとは別にして、Born to Be Wildは好きな曲だ

3連休は雨模様らすぃと予想されてたので
土曜日の夜のバイト以外には外出予定は入れずに
手芸三昧できたら゚+.(・∀・)゚+.゚イイなと思ってたが
日曜日は思いの外晴れたのと
ダンナが二日酔いで寝たきりなのを好都合に
チャリンコで上野の東京都美術館まで行って来た

とゆーのもウフィツィ美術館展をやってて
今回の目玉はボッティチェリの『パラスとケンタウロス』で
ケンタウロスが好きな自分にはこれだけでも観に行く意義があったのだ

それにしてもケンタウロスとパラスとは変な組み合わせだ
パラスとはギリシアで言うアテナ、ローマで言うミネルウァの別名だが
この知恵と闘いの女神がケンタウロスと対峙してるシーンは
ギリシア・ローマ神話には記述がなく
ボッティチェリがいったい何を描きたかったのか
もしくは依頼主がどういう趣旨でこんな絵を描かせたのか
様々な憶測が飛び交ってるが自分には決定的と思われるモノはナイ

それに専門家らの概ねの見解にありがちな
悪のケンタウロスが善のパラス・アテナに懲らしめられてる
なんて単純な図式を当て嵌めたかったら
何の係わりもナイこの2人をわざわざ描きはしナイだろうに
ましてやケンタウロスが肉欲の象徴なら
アトリビュート(象徴的な持ち物)が弓矢であるのも腑に落ちナイ
そう、専門家らの解釈に沿うならば、例えば
シュリンクス(パン・フルート)を吹くサテュロスに向かって
弓矢を構える処女女神アルテミスならわかりやすい

あれこれ考えを巡らせながら
遂に本物の大きな絵の前に立った瞬間
ケンタウロスの繊細な表情には憂いが読み取れたが
それはパラス・アテナに懲らしめられてるからではなく
もっと深い悲しみに沈んでるようだった
確かにパラス・アテナはケンタウロスの髪をつかんではいるが
いかんせん懲らしめてるようには見えなかったのだ

そして2人の間にある一艘の船の存在に気付いてみると
アキレウスの命運がトロイ戦争で尽きたのを嘆くケイロン(※)と
諦めを諭すパラス・アテナに見えてきた
この辺りの詳しい事情は[アキレウスとケイロン]参照

パラス・アテナはトロイの守り神として
そのパラディオン(神像)がトロイ建国時に神殿に祀られたが
これがある限りトロイは不落であるとされてたので
例の木馬作戦を実行する前にオデュッセウスらが盗み出した

パラディオンがギリシア陣営にあって
トロイの守護を放棄せざるを得なくなったパラス・アテナは
地理的には遠く離れてはいたが
アキレウスの訃報(※)に悲嘆にくれるケイロンと
お互いに守り育てた大切なモノを失う
その喪失感を共有してるのを感じて通じ合った
そんな図に思えてきた・・・
映画によってはトロイの木馬にアキレウスも参加してるが、知り得る限りの文献ではとっくに死んでて
アキレウスの代わりに息子のネオプトレモスが戦地に赴き、トロイの王を討ったのはこのネオプトレモスとされてる

人の子を育てた獣神であるケイロンと
人々の営みを育んできた女神であるパラス・アテナ

と、ここまでが頭の中で一気に展開して
何かが怒涛のように押し寄せてきて魂がスパークした
時間軸と空間を結ぶ点から存在が解き放たれると
現実や真実や事実より真意の重みを感じる

絵の前にいたのはほんの1分程だろうが
時空を超えて魂が旅をしてた
こういう感覚をまさにトリップと言うのだろう

薬物などでこの感覚を得てる人が
抜けられなくなるのはわかる、確かに爽快だ・・・
なので、この感覚を呼び覚ますモノでなければ
芸術として完成されてるとは自分には認められナイのだ

そんなだから、あとは数点しか
自分にとって有用な作品がなかったので
まあいつものコトだが15分ほどで会場を後にしたヽ(゚∀。)ノ

帰路、冷静になって考え直してみれば
ケイロンとパラス・アテナが手塩にかけた対象を
無慈悲に奪い去ったトロイ戦争が
開戦に及んだきっかけとなった大元の原因はと言えば
3柱の女神らの誰が1番美しいかの諍いで
その女神の内の1柱は誰あろうパラス・アテナだったし
戦争での勝利を約束するコトで審判を買収しようとさえした

とすると、パリスの審判でパラス・アテナが選ばれてたら
トロイは滅亡しなかったのだろうか?

九十三年

ヴィクトール・ユゴーの『93年』を読み返しながら
アキレウスとケイロンに想いを馳せる

秋の夜長・・・

完訳を最初から読んでたら平静に読み進めるだろうが
読み慣れた児童版に隠されてた秘め事が露見すると思いつつ読むと
無駄にどぎまぎしてしまう

【禁忌】を破る、ってのは妙な興奮があるからなw
表現自体はたいしたコトなくてもパンドラのときめきはあるるる~

幼少の砌、偕成社の世界少女文学全集を愛読してて
その中にシェンキェヴィチの『クォ・バディス』があったが
完訳版『クオ・ワディス』を読んだのは四十路を過ぎてからだった

クオ・ワディス〈下〉 (岩波文庫)

通常だと削除(省略)されてるのは暴力とかセックスとかの描写で
子供の教育上よくナイ=子供がそれを真似たら困る、からだ
しかし児童版『クォ・バディス』で削除されてた部分は
ハリウッド映画『クォ・ヴァディス』でも意図的に省かれてたのだ!

例えば、この物語の背景であるネロの頃のローマ帝国と周辺の
主要都市やそこに実在した人物についての噂話など
譬え話や洒落に悉く引用されてるのだが
無垢な子供には意味がわからナイだろう、とか
教養や経験値がなければ面白みを感じられナイだろう、とか
そんな危惧のために省かれた描写であり
物語の筋には直接関係ナイワリに註釈が冗長になり過ぎるきらいがあるせいか
そのほとんどがスルーだったのだ・・・バタリ ゙〓■●゙

ギリシア・ローマ古典 (知のカタログ)

It's Greek to me !(※)
それって、自分にとって、ギリシア語だわ!
(つまり、それって意味わかんねえよ、ってコトだw)

英語を母国語とする民族にそんな慣用句があるくらいに
無教養な一般大衆からすれば
古代ギリシア(ローマ)の古典はちんぷんかんぷんなのだヽ(゚∀。)ノ
原題が『It's Greek To Me !』とゆーマイケル・マクローンの著書には
古代ギリシア・ローマの古典由来の慣用句の解釈が簡潔に数ページで綴られてる

まだ無分別な子供以上に
一生教養を身につける気なぞナイアメリカ人には
古代ギリシア・ローマのインテリジェンスをバックボーンにした洒落が
通じるワケもなく・・・そりゃあ省くよな。(´д`;)ギャボ

自分からしたらその無教養さからゴーインに展開する
アメリカン・ジョークの方が理解不可能だがな。(゚д゚lll)ギャボ

とゆーのも笑いのツボが違うのだよ
疑似体験も含めて知ってると「なるほど」と思い巡らせて
当て嵌まるエピソードが脳裏に浮かぶとほくそえんでしまうのだが
無垢な子供は奇を衒ってるだけでおかしくて笑うし
むしろ意味があってもわからなければ笑えナイ

そう考えると真に享楽的な人間は
勤勉で教養があり、人生経験豊富で
とりわけ失敗談に尽きナイのが望ましいかもしれナイ

言うほど教養はナイがヲタな自分にとっては【It's Greek to me !】こそが読書の愉しみだが
ペトロニウスが登場してる場面ではこれが凄まじいほどで
さすが趣味の審判者(アルビテル・エレガンティアルム)たるサマに
うっとりするやら、失笑するやら・・・

ペトロニウスは身分的には貴族で地位は執政官ではあったが
ネロに重用されてたのは政治的な立場においてではナイ
あくまでも芸術的趣味が世間から持て囃されてたのを気に入られたのだが
ネロとペトロニウスの趣味趣向が具体的にどうだったのか
その最も知りたかったコトが仔細に綴られてて
シェンキェヴィチも相当なヲタだと改めて感服した次第

特にペトロニウスの容貌についても
まだ1段落目の終わりくらいで決定的に胸熱な表現が出てくる

《神のごとき》アレクサンドロスがあなたに似ていたとすれば――ヘレネがああなったのも不思議はありませんね

アレクサンドロスキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !

この場合のアレクサンドロスとはトロイの王子パリスで
葡萄の房の巻き毛を持つ美麗な王子だ

しかもこれはペトロニウスの姉の息子であるウィニキウスの台詞だが
ウィニキウスこそがこの物語の主役の美青年なのに
ペトロニウスの美貌についてお世辞抜きで言ってるワケで
参考画像はアルフォンス・ミュシャの描いたペトロニウス(左)だ
美しい巻き毛もアレクサンドロス・パリスらしい

《神のごとき》とはもちろんその美貌が人並み外れてるからだが
趣味の審判者と呼ばれる美意識の高い人間が
自らもやはりその美意識に適ってるのだp(-_-+)q

児童版や映画ではいかんせんここの詰めが甘かったので
自分はペトロニウスを侮ってたよ(;つД`)
今や完璧な敗北感を味わってるるる~
但しとても気分が゚+.(・∀・)゚+.゚イイ負けだがな♪

児童版の人物紹介のペトロニウスの項を読み返してみると・・・

ローマでもっともすぐれた貴族。その賢さのために皇帝ネロの信頼が厚い。ネロの詩の先生であり、また辛辣な批評家でもある。(後略)

訳者である野田開作の苦心を考えると申し訳ナイが笑ってしまう!
「すぐれた貴族」て、表現自体が不可思議だが
「賢さのために~信頼が厚い」も「ネロの詩の先生」も実体は違う
まあペトロニウスの奥深い人物像を
人生経験も浅い子供にわかるように解説するコト自体が不可能だろうて

上野に大英博物館古代ギリシャ展を観に行ってきた

ちなみに最近は「ギリシア」の表記の方が一般的と信じきってて
「ギリシャ」の表記に違和感を感じてたのだが
実はネット上では「ギリシャ」が圧倒的に多かったりして・・・

特設公式サイトを見る限りでは
自分にとっての見所とは当てが外れた「みどころ」ばかりで
135点の中に見る意義のあるモノが何か1つでもあれば゚+.(・∀・)゚+.゚イイのだが
くらいの期待度で颯爽と入場

ギリシア神話についての説明書きがやたらと多いのは毎度のコトだが
そこに人だかりがすごいってのは
それだけ日本人には馴染みが薄い世界観なのだよな~
と改めて思いつつスルーしてどんどん進むと
冥土の土産に見ておく必要があるモノは2点ほどあった

1つは壷絵『パリスの審判』で題材はありがちなのだが
今まで見てきたのとまるで違うので間違い探しのようなおもしろさがあった

並びが向かって左から
アテナ、パリス、ヘラ(ユノー)、ヘルメス、アフロディテ(ウェヌス)で
パリスの頭上には天使が・・・いや、天使ではなくてニケが?!
この場面にニケがいたのは始めて見た
そしてアテナやヘラが堂々と描かれてるのに対して
勝者となったはずのアフロディテが見劣りするしょぼさでほぼ裏面に描かれてる
羊飼いのパリスがいくら実は王子だって玉座に座ってるのも変だし
でもパリスとヘルメスをこよなく愛する自分としては
とりあえず彼らが美しく描かれてたので良しとしてしまおう(*^^*)

そしてもう1つがディオニュソス像だが
これこそ自分が求めてたディオニュソス像なのだった!

女性的で甘美なディオニュソス像てのは数年前にも
東大発掘チームが今世紀に掘り出した『豹を抱くディオニュソス像』を見て
なかなか美しいながらもどうも愚鈍なカンジなのが気になってたのだが
本来の風貌からここまで美的変化したのはたいしたものだ
なんて受け流してたのだ

ニーチェとヘーゲル―ディオニュソス哲学の地下通路
ディオニューソス―破壊されざる生の根源像
ディオニューソス―神話と祭儀

だがしかし今回の『擬人化した葡萄の木とディオニュソス像』は
( *゚Д゚)つ[酒]の神だってのに酔いが醒めそうに冴え冴えと美しかったのだ!!
いや、一旦醒めたその後はまたその美貌に酔い痴れたのだが(←複雑)!
とにかく顔の表情とボディラインの柔らかさと締まり方の塩梅が
瑞々しい若者のそれでとても石(大理石)とは思えナイ・・・ホゥ(*-∀-)

このディオニュソス像のポストカードがありますように(-人-;)
でもなかったら図録買ってやるるる~p(-_-+)q
そんな一大決心で会場を出てマーチャンダイズの売り場へ行くと
なんとポストカード、キーホルダー、ケータイストラップ、クリアファイルに栞まであり
図録はやめにしてディオニュソスグッズばかり買い込んだのは言うまでもナイw

参考になったのはニケ(小像)とシレノス(小像)

ニケは最も有名なルーブルの『サモトラケのニケ』以外は
アルカイック期のもっと原始的な彫塑が多くて
その中間型くらいのどちらの要素も持つニケだったので新鮮に感じた

シレノスは牧神の中でも格別に不明瞭な存在で
その姿も山羊脚男説と狸腹男説があったり謎が多かったが
今回は狸腹で泥酔してるぽいシレノスに信憑性を見出した気がした

ニケは天使の原型であり
シレノスはディオニュソス(バッカス)に造詣が深いので
天使と酒が好きな自分には気になる存在なのだ

それからしたら今回の展示のメインは
本邦初公開のDISKOBOLOS(円盤投げの像)だったが
このローマ期のコピー作品の出来が゚+.(・∀・)゚+.゚イイのは認めるも
顔がつまらなくてほぼスルーw

肉体美なら顔はどうでも゚+.(・∀・)゚+.゚イイってコトはナイ!
ボディラインの美しさに見合う顔でなくてはバランスが悪い!!
決してブサイクではナイのだがいかんせん無表情なので
全然魅力的ではナイのだ・・・ざざざ~んねん

アスリートってのは競技をしてる時
全身全霊を込めてる瞬間に真剣な表情になると思うのだが
そんな魂が篭ってるような顔にちっとも見えんのだ

そもそも円盤投げときたらヒュアキントス(※)に決まってるるる~
まあ肉体美を誇示するのには美少年は向いてナイので
それならアポロンをモデルにしてくれょ
神が人間とは違った優美な表情で軽やかに円盤投げするのは
想像もつかナイからこそ誰か創って見せてくれょ
アポロンと円盤投げしてて円盤が当たって死んでしまいヒヤシンスになった少年





このティツィアーノに描かれたヴィーナスは
顔立ちが気に入ってる

身体のラインはもう少し絞られてるのが好みだが
これだけの顔なら身体は別に文句も言うまい

肌の質感が実際はどうなのか
そこのトコロを生で見たかったので行ったのだが
見る前から出来栄えの良さは確信してたので
この作品だけで十分満足できると思って
他には何も期待せず・・・
てかそもそも何が展示されてるのか
全く気にも留めずに入場してたりして・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

入ってみて気付いたが
要するにヴィーナス展だったようだ
しかも古代ギリシアの壺絵から展示されてるではナイか!

それにしてもヴィーナスとキューピッドは英語読みで
他はローマ神話に倣ってたりと煩雑で
気になって後から調べてみたら
フィレンツェ当局がバックアップしてて
ウフィツィ美術館の作品を展示してるくらいだった

となると史料はイタリア語できてたはずだが
主要な展示物であるヴィーナスとキューピッドだけは
汎用として英語読みにしたのだろうか?
しかしそれなら総て英語読みの方がわかりやすかったのでは?

肝心のヴィーナスの夫である鍛冶の神が
「ウルカヌス」だったワケだが
「ヘパイストス」の方が日本人には浸透してるのでは???

尤もゼウス(希)=ユピテル(羅)=ジュピター(英)さえ
日本人にどれくらい通用してるのか・・・。(´д`;)ギャボ

それはさておき
以下はギリシア語読みで統一するるる~ヽ(゚∀。)ノ

アプロディテ(ヴィーナス)自身には殆ど想い入れはナイが
関連する想い入れの深い人物(神)は多い

夫である鍛冶の神ヘパイストス
不倫相手の軍神マルス
息子(?)のエロス
片恋の相手の美少年アドニス
世界一の美青年パオン
「パリスの審判」のパリス

特別展示コーナーには
これらの作品数がそれなりに集めてあったのだが
ヲタからすると量ではなく質なのだよ・・・バタリ ゙〓■●゙

クラーナハの「パリスの審判」は駄作ではナイが
葡萄の房の巻き毛の美少年であるはずのパリスが
その辺のオサーンみたいに描かれてて萎えるし
パオンも1点あったが世界一の美青年には見えナイのだよ!

そしてこれはいつもゲンナリするのだが
アプロディテとエロスが描かれてる絵画は
絶対エロスがプットタイプ(幼児体型)なのだな(-_-;)
期待した自分が悪かった・・・(な、何を?!)

プット天使は当時(ルネッサンス期)の流行だったようだね
ギリシア神話ではエロスは原初の神に入ってて
アプロディテとの親子関係は示唆されてなかったのだが
ローマ神話においてはアモルもしくはクピドと呼称が変わり
ウェヌス(アプロディテ)の息子とされてるのだ

しかしプシュケとの恋愛物語もあるのだから
プットタイプはやめれ(苦笑)

挙句↓こんな時代考証無視のパリスも・・・Σ(゚д゚lll)ガーン

これは酷過ぎて笑えたんでポストカード買っちまったがねw

ウェルギリウスの『アエネーイス』の構成は
結末を冒頭で先に告げておいて全12巻をとくと読んでもらおう
って自らネタバレする大胆不敵さだが
当時(アウグストゥスの頃)『アエネーイス』を読む人は
アエネーアースがローマ建国の祖であると知ってて読んでたのだから
ある意味ネタバレの心配のしようもなかったかもだ

第1巻の巻頭でも

わたしは歌う、戦いと、そしてひとりの英雄を――。
神の定める宿命の、ままにトロイアの岸の辺を、
まずは逃れてイタリアの、ラーウィーニウムの海の辺に、
辿りついた英雄を――。

と謳われて始まるので
そのすぐ後に「トロイを出航したアエネーアース一行が
ユノー、つまりヘラの妨害で暴風雨に遭って
新トロイア(現イタリア)を目指してから7年を費やしてた」とあっても
ヘラの妨害なんのそのでイタリアに辿り着いてしまうとわかるw

ただちとわかりづらいのが
なぜヘラがアエネーアースを妨害するのかだ

1つは【パリスの審判】で
トロイの王子パリスがヘラ、アプロディテ、アテナの3柱の女神から
最も美しい女神を結果的にアプロディテと判定した

そもそも判定役はヘラの夫のゼウスだったのだが
誰を選んでも他の2柱からの怨恨は免れナイだろうと臆したのか
この役目をパリスに振ったのだ

まだパリスがイデ山で羊飼いをしてた時
金の林檎を持ったヘルメスと上記3柱の女神が現れて
最も美しい女神に金の林檎を渡すように促され
女神はそれぞれに選ばれた際の賄賂をパリスに約束して
なんとか選んでもらおうとする(女神のワリになんつ~姑息なw)

これでアプロディテが金の林檎を受け取ったので
約束の賄賂である世界一の美女ヘレネをパリスに賜ったワケだ
(おかげでトロイ戦争が勃発してしまうのだがね)

ヘラとしては最高神ゼウスの妻であるプライドからも
アプロディテに負けたのがよほど悔しかったのだろうが
ヘラはこの恨みや怒りを判定したパリスにぶつけ
このコトが尾をひいて始まったトロイ戦争でもヘラはギリシア勢を応援してた
てか、ヘラはパリスをトロイもろとも叩き潰したかったに違いナイ。(´д`;)ギャボ

なぜならヘラは以前からトロイ王家に怨恨があったからだ
これがゼウスによる【ガニュメデスの誘拐】事件で
本来なら浮気性の夫のゼウスに向けるべき怒りだと思うのだが
女ってモノはヘラに限らず、どうも相手の女を呪ってしまう傾向があるようで
女神とはいえ、ヘラももれなくそんな女だった。(゚д゚lll)ギャボ

ちなみに相手はトロイのガニュメデス王子で男なのだがなヽ(゚∀。)ノ

トロイ戦争 (洋販ラダーシリーズ)

ところでガニュメデスとパリスとアエネーアースは揃いも揃って超絶美形らしいが
稀有な美形を続々排出しまくるトロイ王家についてちょっと解説

トロイ王家の祖はトロス王で
このトロスの祖父がダルダノスで
ダルダノスはゼウスがアトラスの娘エレクトラに産ませた子だ
って、またゼウスのお手つきかょ(;つД`)

だいたいアトラスとオケアノスの間に生まれた7人の娘は
ゼウスがお手つきしまくりで
エレクトラが産んだのがダルダノスだが
ターユゲテーが産んだのがラケダイモンで
マイアが産んだのがヘルメスだ

パリスの生まれたトロイ王家の祖であるトロスの祖父ダルダノス
ヘレネの生まれたスパルタ王家の祖であるラケダイモン
そして【パリスの審判】で金の林檎をパリスに授けたヘルメス
皆アトラスとオケアノスの7人の娘から産まれてたのだ、しかも父親はゼウス(※)・・・バタリ ゙〓■●゙
残りの娘はゼウスの兄弟であるポセイドンのお手つきだったりする

自分も今まで気づかなんだが
アトラスとオケアノスの7人の娘は
トロイ戦争にとっては宿命的な存在だったのだな?!

トロイ王家に話を戻すと
トロスの一番上の息子はイーロスでこの名がイリオンの地名になり
二番目のアッサラコスが兄イーロスの娘と結婚して生まれたのが
アンキセス・・・後のアエネーアースの父なのだ!

そして一番下がガニュメデス王子で
結婚する前にゼウスに浚われて、神々の宴で給仕をさせられて、ヘラには睨まれて
挙句に星(水瓶座)になった美少年だ!!

アンキセスも美の女神アプロディテの寵を得るほどの美形で
間に生まれたアエネーアースも美麗なのは当然か?!

プリアモス(別名ポダルケース)はイーロスの息子で
アンキセスからすると複雑な系統にあたり
母親の腹違いの兄で父親の兄の息子って、え~と(-_-;)???

更にメンドウなのはアンキセスの息子のアエネーアースが
プリアモスの娘(ヘカベが産んだクレウーサ)を妻にしてる点だが
アンキセスからするとプリアモスは息子の嫁の父親ってコトになって
これがある意味1番わかりやすいか

以上の系譜はアポロドーロスの『ギリシア神話』を参考にしたが
ギリシア神話の家系図を調べる時には最も役に立つ。・゚・(ノД`)・゚・。

troy

絵画の展覧会に限らず
本を読むにしても映画を観るにしてもそうだが
まず自分にとって主題に意義があるか=興味があるか、が何よりも大切だ

リアル(現実世界)では
自分の世界観のどこにも引っかかりようもナイ俗物が溢れかえってて
社会生活を全うするためにはそれらをある程度享受する必要に迫られるが
そうして辟易するのはリアルだけで十分で
スピリチュアル(精神世界)では
ゴミとしか思えナイモノなんか総て排除して
理想の世界観を構築してく至福の時を満喫したいのだ

トロイ戦争とゆー主題はその点で秀逸で
Bunkamura ザ・ミュージアムの「ヴェネツィア絵画のきらめき」でも
期待してなかったからこそ『パリスの審判』があったのは
しかも初めて目にする『パリスの審判』だったのは
我が目を疑いつつ狂喜した!
いや、嬉しいやら悲しいやら・・・悲喜こもごもってこんな心境なのか?!
なんせトロイ戦争ヲタで格別にパリス好きの自分なので
『パリスの審判』ならほとんどの作品を知ってるつもりでいたが
フランチェスコ・グアルディのは初だったのだ!!

3人(柱)の裸体の美女(女神)と羊飼い風の美青年(実は王子)の図は
それだけで見た瞬間に『パリスの審判』だとわかり戦慄が走り
その甘美な筆致から受ける甘やかな画風に陶酔し
しばし身動きもとれずにいたが釘付けとはあんな状態なのか?!

我に返ってじっくり見てみれば
3柱の女神が裸であっても威厳があり堂々としてて
それに比してパリスが引き気味なのが゚+.(・∀・)゚+.゚イイね

また金の林檎を持ったヘルメスがいナイのは
ヘルメス信奉の自分には最初淋しく感じられたのだが
この対比の絶妙さを邪魔してしまうから画面に収まらなくて正解だろうし
恐らく3柱の女神はパリスを見つけて
案内人のヘルメスよりも一足早くパリスの前に降り立ったんだろう
金の林檎もちゃっかり女神の誰かが持ってるるる~

そうなのだ、女神が裸なのは構わナイが誰が誰なのか
アトリビュート(決まった持ち物)も持ってナイとわからナイのだな
でもそこがこの絵の最も成功してる部分なのだろう
究極の美女であるのだから、ただひたすら美しくて個性なんかナイワケだ

そしてそんな女神らに負けず劣らずの美青年であったパリスとの間に
思い切って空間を取ったのがまた神々しさ倍増で素晴らしい

唯一、パリスがフリュギア帽を被ってれば完璧だったかと・・・
それでもこんな『パリスの審判』に巡り会えて幸せ・・・ホゥ(*-∀-)

ところでググっても出てこナイのは個人蔵だからか、本物見れて超ラッキー♪

ailianos

タイトルに「ギリシア」とあるが書かれたのはローマ時代になってからだ

筆者はAelianus・・・ギリシア語読みだとアイリアノスだが
本トはローマ人だからアエリアヌスが正しいのでは?
しかし本編がギリシア語で書かれてるので作家名もギリシア語読みなのだろう

また時代的にはラテン文学の頃なのだが
前述のようにラテン語で書かれてナイのだからラテン文学ではナイ(のか?)

ギリシア奇談集 (岩波文庫)

『ギリシア奇談集』の原題は単に『ポイキレ・ヒストリア』で
ポイキレ(色とりどりの)・ヒストリア(歴史)なので『多彩な歴史』で
内容は確かに多彩で何でもありの様相を呈してるが
例えれば電車の中吊りにあるようなゴシップネタの宝庫なのであるるる~

古代ギリシアからローマ時代までの様々な逸話が460余り掲載されてるが
本文が415ページで注釈がたっぷり付いてるので1つの話は数行のモノがほとんど!
なので最初から最後までをきっちり読破するタイプの本ではなく
目次や索引から興味を引いた部分だけを飛ばし読みするのが愉しい♪

内容的にも現代の雑誌を読む感覚に近いので
なんとなく傍らにおいといてぺらっとめくっては1人ほくそえむ(*^^*)
そんな読み方が似つかわしいのだが書かれてるコトの真偽についても
週刊誌くらいの信憑性と認識しておけば゚+.(・∀・)゚+.゚イイ
この著者の肩書きは政治家でも学者でもなく・・・もしかして著述業か。(゚д゚lll)ギャボ

特筆すべきは古代ギリシアでは非難されなかった男同士のカップルが
以下のように取り上げられてるのが喜ばしい・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

ソクラテスとアルキビアデス
アキレウスとパトロクロス
アレクサンドロス大王とヘファイスティオン
その他諸々ヽ(゚∀。)ノ

まあローマでもキリスト教なんかが蔓延る前は罪を問われなかっただろうが。(´д`;)ギャボ
徹底した男尊女卑の宗教ほど同性愛を認めナイのはなぜだろうw

アレクサンドロス大王についてはカナ~リ載ってて
その師傅(しふ)アリストテレスや父王フィリッポス2世についても然りである
ちなみにこの時代にはアレクサンドロスと言えば大王なので
トロイのアレクサンドロス・パリスについてはパリスとして区別されてる

その他にも
哲学者(ピュタゴラス、プラトン、クセノポン、エピクロス)
英雄(ヘラクレス、アイネイアス、スキピオ)
詩人(サッフォー)
芸術家、僭主、名士、美少年に遊女の四方山話
アテネ、スパルタ等のポリスやその他の諸民族の特性
etc.etc.・・・興味深い話題満載だ

ブラピの『トロイ』の半世紀前に制作された『ヘレン・オブ・トロイ』を観た

題材が同じなので当然ながら登場人物も同じなのだが
こちらはタイトル通りにヘレン(ヘレネ)が主役なだけあって
アキレウスが主役の『トロイ』とはキャスティングのポイントが違う

主役のヘレンは万人が認めるであろう正統派の美人で
相手役のパリスも見合うように精悍な美青年で
いかにも悪役らしい悪漢面のアガメムノンとメネラオスの兄弟は存在感があるが
アキレウスもオデュッセウスもヘクトルもチョイ役で記憶に残らナイし
予期してたコトだがパトロクロスは出てさえいナイ(;つД`)

Helen of Troy [VHS] [Import]

ヘレンに扮してるのは全然知らなかったがロッサナ・ポデスタなる女優で
一筋の乱れも許さずに編み込まれた輝く金髪
優雅な物腰を引き立てるドレープのたっぷり入った衣装
そして不倫妻であるコトは否めナイはずなのに
その道ならぬ恋の方が正しいような気がしてくるほどの圧倒的な美貌!
更に今時の女優には見受けナイ毅然とした態度がその美しさを冴え冴えとさせる!!

ヘレン・オブ・トロイ 特別版 [DVD]

パリスがアプロディテ(ヴィーナス)と見紛うのも肯けるほどに
見れば見るほど隅から隅まで美しさに隙がナイ・・・ホゥ(*-∀-)

これほどの美男美女が巡り逢ってしまったら
どうして恋に落ちずにいられようか・・・とその見映えだけで納得できるるる~

まあ逆に言えば美女ありきのメロドラマ風になってるきらいもあり
『イリアス』に忠実な戦闘シーンを期待してると
肩透かしを食らわせられるか、途中で飽きてしまうだろう

でも自分としては命を懸けた恋愛にひた走るこの運命のカップルが
『トロイ』の儚く可憐なヘレンと顔が命のヘタレパリスでは
まるでおままごとのように微笑まし過ぎて説得力不足に感じてたので
2人とも大人の『トロイのヘレン』には溜飲が下がった

それ以上に自分の好みと解釈から行けば
不可能ではあるがこの大人のヘレンと『トロイ』のヘタレパリスが゚+.(・∀・)゚+.゚イイ

故国と幼い娘を捨ててきたヘレンは
日が経つにつれて望郷の念と罪悪感に苛まれるが
その苦悩に全く気づかナイ脳天気なパリスに段々と嫌気が差してきて
悪気のナイのはわかっててもパリスに辛く当たるようになり
開戦を迎えてトロイ中の非難を受けて
さすがに素直に落ち込んでしまったパリスに対して
「ヘタレ!」とか止めの一言で毒づいてもらいたい・・・へo(゚∀゚*)ビシィ

失意のパリスを演じる蒼ざめたオーリーを想像しただけで
うきうきしてしまう自分はサドだヽ(゚∀。)ノ

ところでこのヘレン役の金髪美女ロッサナ・ポデスタは実は黒髪の麗しいラテン美女であった!

Wikiによれば彼女の出演作って興味深い題材ばかりで
この『ヘレン・オブ・トロイ』の前に『Ulysses(ユリシーズ)』に出てた。(゚д゚lll)ギャボ
オディッセウスはカーク・ダグラスで彼女はナウシカアやってたのだが
ペネロペイアはシルヴァーノ・マンガーノだったりして
これは観たい!観なけりゃ!!
と思ったがアマゾンでもImportのDVDしかナイ。(´д`;)ギャボ

他にも『Sodom and Gomorrah(ソドムとゴモラ)』とか
新しめの1983年の『超人ヘラクレス』では女神ヘラだったりして
アマゾンで衝動的に買い集めてしまうトコロだったが
何もかも日本ではDVD化されておらず断念した次第である・・・(-_-;)

トロイ戦争と言えばホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』だが
これらはむしろそのごく一部しか描かれてはおらず
一部始終となるとある程度までならたいていのギリシア神話にはあるが
詳細を描いた文献で、本来の伝承に忠実で、今日まで残存してて
しかも和訳されてるとなるとコルートス、トリピオドーロス、クイントゥス
そしてピロストラトス・・・いずれもローマ時代の再話作家だ


コルートス / トリピオドーロス『ヘレネー誘拐・トロイア落城』


ヘレネー誘拐・トロイア落城 (講談社学術文庫)

タイトル通りにコルートスの『ヘレネー誘拐』と
トリピオドーロスの『トロイア落城』が1冊に収まってるのだが
トロイ戦争のきっかけとなった【パリスの審判】と
トロイ陥落の作戦であった【トロイの木馬】とゆー
2つの最も有名なエピソードについてその詳細を知るコトができて
解説を含めて143ページとお手軽だ

但しこれらは5~6世紀にエジプト人によって書かれたモノなので
時代の変遷を経て付け加えられたのであろう間違い(勘違い)と思しき部分もあり
特に『ヘレネー誘拐』では大筋の設定自体がおかしい

とゆーのも【パリスの審判】の数日後にパリスがヘレネを訪ねてて
そのまま駆け落ちしてしまってるのだ
【パリスの審判】からパリスとヘレネの駆け落ちまでには
少なくとも10数年が経過してなくてはマズイだろう

なぜなら【パリスの審判】はアキレウスの両親の結婚式の直後の話で
この時点ではまだアキレウスは生まれてナイのだヽ(゚∀。)ノ

しかもそれでいてパリスとヘレネの出会いの時に
ヘレネが「アキレウスの武勇を知ってる」と語ってるのだ!
なので無理してこの物語に辻褄を合わせると
【パリスの審判】はアキレウスの両親の結婚式から10数年後で
その間、3柱の女神らは金の林檎を巡って延々といがみ合っていたとかw

そうでなくてもトロイ戦争が初陣でそれまで女装をして身を隠してたアキレウスの
「武勇」なんてモノがギリシア全土に伝わりようがナイのだ(-_-;)

『トロイア落城』の方は『イリアス』と『オデュッセイア』の間隙を埋める話で
つまり「ヘクトルの死後以降のトロイ戦争の成り行き」がわかるが
特筆すべきはやはり【トロイの木馬】のエピソードで何よりも詳述されてると思われ

但しその描写が緻密過ぎて
「弁慶の握ったこぶしはこのくらい」と握って示す講釈師の語り草のようで
講釈師 見て来たような 嘘を言い、なんて川柳を思い起こさせるが
臨場感溢れる筆致は嫌いではナイね

あと自分にはこれらがエジプト人によって書かれたギリシア文化の本として
アレクサンドロス大王が齎したヘレニズムの影響力をおおいに感じられるのも嬉しい♪


クイントゥス『トロイア戦記』


トロイア戦記 (講談社学術文庫)

これはこの『トロイア戦記』なるタイトルに語弊があるコトと
アキレウスの死に様に自分はどうも納得が行かナイのだが
それ以外は古典に忠実なので気に入ってるるる~

訳者の松田治の「まえがき」によれば
この作品には元より決まったタイトルがついてなかったのだが
内容から『ホメーロスの続き』とか『ホメーロス以降のことども』などと称されてたそうで

より正確には「ヘクトール没後のトロイア戦争の物語」となろうが、これも間延びするので本訳書では『トロイア戦記』とした次第である。

とゆーコトだがやはりタイトルは多少冗長になっても中身を反映してる方が好ましい(-_-;)

『トロイア戦記』のタイトルで本文444ページもあれば
スパルタ王妃レダの産んだ卵から始まるトロイ戦争の全般に渡る物語か
もしくは【戦記】なので『イリアス』より以前のアキレウスの出征くらいから終戦までとか
とにかく他ではなかなか読めナイ部分がてんこ盛りに入ってると思い込んでしまう。(´д`;)ギャボ

実際にはまさしく『イリアス』の続きでちょうど前述の『トロイア落城』と被り
アキレウスとアマゾンの女王ペンテシレイアとの戦いや
そのアキレウスの最期と追悼競技の様子
オデュッセウスに敗れたアイアスの自殺と悲嘆にくれる妻テクメッサ
パリスの最期「パリス散華」
アエネーアース(本文中アイネイアース)の活躍ぶり
オデュッセウスの【トロイの木馬】作戦
そしてトロイ陥落後に生き残った登場人物の行く末が
444ページのヴォリュームなのでどこよりも詳しく描かれてて圧巻なのだが
あくまでも『イリアス』後『オデュッセウス』までなのであるるる~

作者のクイントゥスは3世紀頃の小アジア(スミュルナ)の詩人なので
当然ながらフィクションの部分も多いのだろうが
話の辻褄は合ってて隙がナイ上に心理描写も的確と思えるので
この人に脚本を書かせた映画を観てみたいものだヽ(゚∀。)ノ

それにしてもトロイ戦争の世界観に浸ってると
絶世の美女ヘレネの悪女ブリと、にもかかわらず決して咎められナイトコロに
つくづく世の男たちが美女に甘いコトを痛感するね。(゚д゚lll)ギャボ


ピロストラトス『英雄が語るトロイア戦争』


英雄が語るトロイア戦争 (平凡社ライブラリー)

著者のフラウィウス・ピロストラトスはレムノス島出身のギリシア人で
2世紀後半~3世紀の半ばまで生きた人

タイトルの『英雄が語るトロイア戦争』の英雄とはプロテシラオスで
トロイ戦争が始まって最初に戦死したギリシア勢の将だが
この物語は著者ピロストラトスの時代にとあるフェニキア人が旅をしてて
トロイ北方のエレウスにてぶどう園に立ち寄りそこの主人を介して
英雄プロテシラオスの霊によって明かされたトロイ戦争秘話を語られる設定だ

トロイ戦争当時、既に死者であって
要するに誰に肩入れしてるでもなくなった英雄によって公平に見た
アキレウス、オデュッセウス、アイアスなどの英雄らの人物像が浮き彫りにされるのだが
これが自分の予想と合致してたので嬉しくなった。・゚・(ノД`)・゚・。

またトロイへの第一陣が目的地に辿り着けずにミュシアに上陸した際の話や
パトロクロスのためにアキレウスが髪を切った、とか
後にアレクサンドロス大王がテッサリアを征服してもプティアはアキレウスに意を示して手をつけなかった、とか
フツーに蔑ろにされがちな、でも自分にとっては重要な逸話が鏤められてて
トロイ戦争関連書籍でかつてこれほど満足感を得たモノはなかった・・・ホゥ(*-∀-)

まあブラピの『トロイ』しか知らナイ初心者が読むと
映画から抜け落ちてる部分ばかりなので何のコトやらさっぱりで
最も意味不明な1冊であろうが(-人-;)

いつかトルコを訪ねた時にはこのフェニキア人の旅人のように
ぶどう園でトロイ戦争を語り合えたら・・・と夢を見出だしてしまった!!
ディオニュソスの庇護の下に人生を再スタートさせねばp(-_-+)q