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岩波書店、紀伊國屋書店、勁草書房、東京大学出版会、
白水社、法政大学出版局、みすず書房、未來社の出版社8社が
合同で「書物復権」(※)なる復刊事業に取り組んでるのを知ったのは
ジョージ・バーナード・ショーをググったのがきっかけだった
書物復権2012書物復権2013

バーナード・ショー名作集

これで復刊されたのが『バーナード・ショー名作集』
以下の代表作6篇が収録されてた

カンディダ
悪魔の弟子
人と超人
ピグマリオン
聖女ジョウン
デモクラシー万歳!

¥7,000近かったが迷うコトなく購入し
念願の『聖女ジョウン』と『ピグマリオン』を読み
併行してショーの戯曲の解説書『バーナード・ショーの劇』や
ジュール・ミシュレの『ジャンヌ・ダルク』や
オウィディウスの『変身物語』の挿話『ピュグマリオン』と
梯子酒ならぬ梯子読書を大いに愉しんだ末に
奇妙なシンクロニシティに見舞われた・・・のは昨年の夏

『ピグマリオン』の第3幕に次のような一節があるのだが
この描写だけでヒギンズ夫人が趣味の良い女性であるのがわかるるる~

ヒギンズ夫人は、ウィリアム・モリスやバーン・ジョーンズの雰囲気のなかで育てられたので、ウィンポール街の息子の部屋とはちがい、家具や小さなテーブルやこまごまとした物が、雑然とおかれているようなことはない。部屋の中央には、背のない大きな長椅子が一つ。これと、じゅうたん、モリス風の壁紙、モリス風のサラサの窓かけ、長椅子にかけた錦のカバーとクッション類が、立派な装飾となっているので、つまらない物をごたごた並べたてて、その美しさをかくすことはないのである。三十年前グローヴナー・ギャラリーに陳列されていた、いい油絵が数点(ホイスラー派のものではなく、バーン・ジョーンズ派のもの)、壁にかかっている。(後略)

息子のヒギンズがヲタになったのも独身主義を貫いてるのも
きっとこの出来過ぎの母親のせいなのだろう
そんな考えを巡らせながら新宿の地下街を歩いてた際に
バーン・ジョーンズ展のポスターが目に入った

ポスターにあったペルセウスには全く興味なかったが
予感がしたのでサイトをチェックしてみると
ウィリアム・モリス商会で製品化したタペストリーが展示品目にあった!
バーン・ジョーンズに原画を描かせて刺繍させたタペストリー・・・ホゥ(*-∀-)

シンクロニシティだ((((; ゜Д゜))) ガクガクブルブル

これだけでも手芸好きの自分には観に行く理由として十分だったが
連作『ピグマリオン』も一揃い(4枚)あるらしい!!

シンクロニシティしまくりだ((((; ゜Д゜))) ガクガクブルブル

そもそもバーナード・ショーの『ピグマリオン』は
モリス夫妻によってインスピレーションを得て描かれたに違いナイ
とゆーのもウィリアム・モリスの妻ジェーン・モリス(旧姓バーデン)は
バーン・ジョーンズとロセッティによって見出されたモデルで
ウィリアム・モリスにもモデルとして紹介したトコロ
2人が恋に落ちて婚約してしまったのだが
この婚約→結婚の間に恐らく極貧で教育を受けてなかったジェーンは
上流社会の一員としての教養を一から身につけた・・・
なんて、まるで『ピグマリオン』のイライザそのものだ!!

☆・・・☆・・・☆

会場に着いてすぐの展示室へ向かうエレベーターの前に
連作『ピグマリオン』の一部のプリントがでかでかと貼られており
この迫力に比べたら実物はしょぼいかと思いきや
そこは連作ならではの見応えだった
(唯一、女神が鳩を踏んづけてたのが気になったのは自分だけかね?)

しかしラファエル前派は一見すれば繊細な作風なのだが
ダヴィンチのような精密さには事欠いてて
背景の花などがワリと杜撰に描かれてたりするので
近寄ってじっくり愉しむよりは遠見で全体的に観るとか
現代ならネットで観るのにうってつけだと思われ

それに比してタペストリーは期待以上に素晴らしく
絹糸1本の寸分の狂いもナイのに感動した。・゚・(ノД`)・゚・。
改めて考えたらウィリアム・モリスは日本の柳宗悦みたいな人なのだな?!
美意識にお国柄がそれぞれ表れてるのでそこに違いがあるが・・・

またジェフリー・チョーサーの『チョーサー著作集』の
ウィリアム・モリス商会によるケルムスコット・プレス刊(※)があり
豪華装丁本の現物を目にするコトができたのは収穫だった♪
※LINK:ケルムスコット・プレスの『チョーサー著作集』

おみやげには『ピグマリオン』連作のワイドプリントにブックマーク
そして『チョーサー著作集』のポストカードとノートにしたが
もしケルムスコット・プレスのグッズがなければ図録を買うつもりだった
自分は究極的には紙の書物が何にも増して好きなようだw

↑改めてじっくり見てみたら『Troilus and Criseyde』だった(゚ ゚;)
これチョーサー版は『トロイルスとクリセイデ』だけど
シェイクスピアになると『トロイラスとクレシダ』になって
逆にボッカッチョのはタイトルが『フィローストラト』でトロイオロとクリセイダ
もちろん時代順にボッカッチョ→チョーサー→シェイクスピアだ

あとの2枚は残念ながら何かわからなかった・・・うぅ(-_-;)

Roman Catholic church、即ちローマ・カトリック教会とは何ぞや?!

キリスト教は古代ローマに端を発し
以降、迫害されながらも信者を増やしたが
一方で組織の分裂を繰り返し、宗派は細分化されてった

その中でもローマ・カトリック教会は
1054年にコンスタンティノープル教会(正教会)と分離して以来
キリスト教の最大の教派として現代に至るまで存続してる

以下が経緯、()内は西暦である

ローマ皇帝の連名によるミラノ勅令(313)・・・キリスト教公認
コンスタンティヌス帝のニケーア公会議(325)・・・キリスト教統一(?)
コンスタンティヌス帝の遷都(330)・・・ビザンティウム(現イスタンブール)へ
フンの東ゴート征服(375)・・・東ゴートはパンノニアを経てイタリア半島へ↓
西ゴートはイタリア半島を経てイベリア半島へ大移動
テオドシウスのキリスト教信奉令(380)・・・キリスト教を奨励、他宗教も容認
テオドシウスのキリスト教国教化(392)・・・他宗教を否認
テオドシウス崩御(395)・・・ローマ帝国の東西分裂
西ローマ帝国(395~476)・・・首都はローマ
東ゴートのイタリア半島進出(497~553)・・・首都はローマ
東西教会の大シスマ(1054)・・・東西教会が相互破門により分裂
東ローマ帝国(395~1453)・・・首都はコンスタンティノープル

ローマ皇帝リキニウスと副帝コンスタンティヌスとの連名によって
キリスト教が公認されたのが313年だったが
この時点で既にキリスト教は2つの宗派に分裂してて
325年に教義統一会議がコンスタンティヌス帝(※)主宰で開かれた
コンスタンティヌス帝はリキニウス帝を処刑して正帝となってた

この教義統一のためのニケーア公会議には約300名が召集され
結果から述べるとアタナシウス派の方が正統(orthodox)と認められ
ギリシア語で「普遍的」を意味するkathlolikos由来の
【Catholic】と称するようになったが
この時アタナシウス派(※)は三位一体説を主張してた
「父なる神、子なるイエス、聖霊の3者は一体で不可分」てのは
つまり「イエス=神」と言いたいのだろうが
これに対して「イエスも人間である」としたのがアリウス派(※)で
異端(heresy)としてローマ帝国を追放されたヽ(゚∀。)ノ
これらアタナシウスだのアリウスだのは教父の名に由来してた

コンスタンティヌスの生涯 (西洋古典叢書)コンスタンティヌス大帝の時代―衰微する古典世界からキリスト教中世へ「私たちの世界」がキリスト教になったとき――コンスタンティヌスという男

コンスタンティヌス帝はビザンティンに遷都して
その名もコンスタンティノープルとしたが
そこに置かれたコンスタンティノープル教会は皇帝の庇護の下に
五本山(※)の中でも2大勢力としてローマ教会と拮抗してた
ローマ、コンスタンティノープル、アンティオキア、イェルサレム、アレクサンドリア

その後ユリアヌス帝がキリスト教迫害者としては
ローマ帝国最後の皇帝となったが
テオドシウス帝によってキリスト教が奨励され
392年にはローマ帝国の国教とされた

ところがまもなくゲルマン民族の大移動が始まって
テオドシウス没後にローマは東西に分裂し
西ローマ帝国(※)が滅びると、東ゴート王国の支配下になり
更に東ゴートも東ローマ帝国(※)に滅ぼされたが
1453年にローマ帝国が滅亡するに至る
これらの呼称は後世になって付与されたモノ

民族大移動以降はローマ人とゲルマン人が混在してたので
法律もローマ法とゲルマン法がそれぞれに用いられた
都市生活を好まナイゲルマン人は西欧内陸の農村に社会を形成したが
既にヨーロッパ各地にはカトリックの住民も散在してたし
かつてローマを追われたアリウス派が支配層として定着してたりした

7世紀になってマホメットの出現によりイスラム教が台頭すると
アンティオキア、イェルサレム、アレクサンドリアなどが
統治下でなくなったり、異教圏に様変わりして
残ったのが、西のローマ教会と東のコンスタンティノープル教会で
要するにローマ・カトリック教会とギリシア正教会だったが
8世紀頃から聖像崇拝論争などで争ってて
1054年には相互破門によって正式に分離してしまった

エウセビオス「教会史」 (上) (講談社学術文庫)エウセビオス「教会史」 (下) (講談社学術文庫)

12世紀には大学の創設ラッシュがあり
現在でも世界に名だたる西欧の大学はこの時期に出来たのだが
元はと言えば教会の研究機関として派生したので
大学の総元締めはローマ・カトリック教会なのだった

哲学は神学の婢(はしため)

神学とは神ありきの世界観の中で理論的に神を探求する学問であり
現代なら科学的に論じるべき問題でさえも
「神が創りたもうた世界」についての考察なので
事実より聖書に矛盾しナイ論拠が重要視された
そのワリにキリスト教がなかった古代ギリシアの自然哲学を引用して
正しさを示唆するのに「アリストテレス曰く・・・」とか言い出すのだが
アリストテレスは正しいが神を知らなかったヽ(゚∀。)ノ
ローマ・カトリック教会の自己弁護としてこの言葉があるワケだが
この時代の学問のあり方をよく表わしてる言葉だ

14世紀にルネッサンスとゆー文化現象が繁栄するが
ダンテの『神曲』然り
ダヴィンチやラファエロの絵画や
ミケランジェロの彫刻の代表作品のモチーフを見れば解るように
キリスト教以前のギリシア・ローマの文化を手本にしながら
表現してるモノはキリスト教由来だったり・・・

ローマ・カトリック教会の教義と制度は
16世紀前半頃には西欧各地に広まり、厳しく取り締まられるようになった
庶民が異を唱えれば忽ち異端審問=拷問の末に処刑、で
身分に関係なく破門=死後に地獄に落ちるのを確定されたりして
教会組織は暴君のように権勢を振るってたのだ

ニーチェの『悲劇の誕生』では
アポロン(的)とディオニュソス(的)とゆー単語が繰り返される

これらが古代ギリシアの神であり
アポロンは太陽神で予言、医術、音楽を司ってて、ディオニュソスは酒の神
くらいの認識はおよそ無教養な現代日本人でも持ってるだろう

とはいえ、のっけから

 芸術は、<アポロン的なもの>と<ディオニュソス的なもの>という、ふたつの要素のせめぎあいによって展開してゆく。それはオスとメスによる生殖のようなものだ。生物の場合、ふたつの異質なものが絶えずせめぎあい、両者の和合はしかるべきときに定期的にしか訪れないわけだが、芸術にもそれと似たところがある。そうした芸術の特質を、ただ論理的に理解するだけでなく、ずばり直観的にも把握できるようになれば、美学はおおきく前進することになるだろう。

などと、言われても太陽神と(葡萄)酒の神が
どうしてオスとメスほどに対極的なのかはわからりづらい

ギリシア神話の神々の中ではヘルメスが1番好きだが
次いでアポロンとディオニュソスも甲乙付け難くお気に入り
そんな自分でさえもニーチェの位置付けには疑問を感じてしまう

アポロンは人間だったなら絶対にモテたであろうに非モテで
例えば、予言の術を授けるから恋人になれ、とか
トロイの王女カッサンドラに言い寄るのもおかしいが
それで振られた腹いせに予言を信じる者がいナイようにしたり
美女コロニスを手篭めにして、恋人気取りでいたら
他の男と結婚してしまったからって、コロニスを殺そうとしたり
意外と人間臭いってか、姑息な部分が垣間見えるので
ニーチェが示唆するような高潔なイメージは
どうにも持てナイのだが。(´д`;)ギャボ

だいたいアポロンは悲恋のエピソードばかりなのだが
腐女子にとってギリシア神話の美味しい部分こそがアポロンの悲恋で
ヒュアキントスやキュパリッソスなる美少年とアポロンとの
在りし日のやりとりには妄想力を惜しまナイし
美少年の死に際に限定すれば悲壮感の中にも優美なアポロンてのはわかるが
主知的、理性的とかは微妙に違う気がするし
それに比してディオニュソスを激情的とするのはどうかと思われ

仲間のパーンやサテュロスのような牧羊神ら(※)は
確かに放埓な獣らしい下半身をしてたりするし
パーンの笛の音に陶酔してマイナデスは踊るだろうが
ディオニュソス自身は酩酊もせずに超然としてるカンジだが?
ローマのバッカスの従者であるファウヌス然り

さかしま (河出文庫)サテュリコン―古代ローマの諷刺小説 (岩波文庫)サテリコン [DVD]

サテュロスの名に由来する『サテュリコン』なる奇異な小説を知ったのは
偕成社の少女世界文学全集の『クォ・バディス』で
そこには『サチリコン』とあり
登場人物のペトロニウスが書いた詩や散文の本なので
実在するとは夢にも思ってなかった

ところが雑誌ALLANの影響でマルキ・ド・サドを澁澤龍彦訳で読み漁り
澁澤訳のユイスマンスの『さかしま』に巡り会い
ペトロニウスも『サテュリコン』も実在してたと知って
シュリーマンがトロイの遺跡を探し当てたかのような興奮を思えたが
なんせネットで検索などできなかった時代のコトで
更に女子高生が大っぴらに買い求めづらかったのもあって
闇雲に古本屋を探し回るしかなかった

また映画『サテリコン』の存在を知ったのもALLANに載ってたからだが
そこで紹介されてる美少年ジトーネに一目惚れして
この映画を冥土の土産にどうしても観たい、と思いながら20年余りが過ぎ
結局、DVDが発売されたのを買って観たのは2003年だった

そうしてずっと『サテュリコン』を切望してたので
サテュロスの名がいつも脳裏を掠めてて
山羊の角と下半身を持つ異形の姿さえも身近に感じてたw

ヴィヴィアンウエストウッド Vivienne Westwood マン サティア オーブ ペンダント ネックレス シルバー

なのでVivian WestwoodのSatyrシリーズとか物欲を煽って困る!
今なんてDoCoMoのVivianスマホのマチキャラになってて
Satyrが着信で踊ったりするらしくて
スマホ嫌いなのに欲しくてたまらなくて困ってるるる~

SH-01E Vivienne Westwood docomo [Orb camouflage]

最後になったが愛するヘルメスに関しては
神に対して不謹慎かもしれなんだが
ファッションを含めたルックスがたまらなく好きだし
性格的にやんちゃで愛嬌たっぷりなのもときめかずにはいられナイ

最も美しい青年の容貌を持つとされるアポロンに文句はナイが
ヘルメスの方が愛らしいと思えてしまうのは単に好みで
特にボッティチェリの『プリマヴェーラ(春)』でのヘルメスときたら
ヘアスタイルといい、顔立ちといい、個性的な帽子とサンダル(ブーツ?)といい
大好きなテイストだけで仕上がってるるる~

サンドロ・ボッティチェリ *春(プリマベーラ)【ポスター+額縁】約53 x 76 cm ゴールド

aeneas

ダンテの『神曲』でウェルギリウスが案内役なのは
『神曲』を書き始める段階で候補者の中から選んだのではなく
最初から決まってたに違いナイ、と思うのは
若い頃に書いた『新生』第25章において自身の詩作の意義が語られてるが
ここで例として既にウェルギリウスの名が筆頭に挙げられてるからだ

「アエネーイス」ローマ建国神話

ウェルギリウスといえば『牧歌』『農耕詩』『アエネーイス』だ
参考までに『牧歌』と『農耕詩』は西洋古典叢書に1冊に収録されてて
『アエネーイス』は今では数種類の訳で出てるが
韻文訳の語調の小気味よさや解説の充実度、そして値段の安さとで
オススメは岩波文庫の泉井久之助訳だ

『アエネーイス』はトロイ戦争において若者アエネーアース(※)が
トロイ王家(分家)の唯一の生き残りとして
漂流の末にイタリアに辿り着いて
王となってその子孫がローマを建国し
更にその血筋のカエサル(シーザー)やアウグストゥスが帝政ローマを築いた
とゆーギリシア神話を引き継いだローマ建国の物語でフィクションだ
読み方はWikiに準じた

古代ギリシアの先達に倣って、先祖に神のいる血筋を
悪く言えば捏造した、よく言えば辻褄が合うように編纂したのだが
ホメロスの『イリアス』に出てきたアエネーアースは
カエサルが自らをアエネーアースの末裔と主張する以前に
元々ラティウムで伝承されてたローマ建国伝説と融合させたぽい

編纂されたのはアウグストゥスの時代で
このウェルギリウスの『アエネーイス』以外にも
オウィディウスの『変身物語』などがある

自分の好みとしては『変身物語』だし
他の著作もオウィディウスの方が読みやすいし面白いが
『アエネーイス』はラテン文学の最高峰として
必読の古典だ!!(と思ってるのは自分とダンテだけ?)

ウェルギリウスはダンテにとって神のような存在だったが
当のウェルギリウスにしてみれば、それはホメロスだったようで
ホメロスを超えられなかった、と思い込んでたのだろうか?
『アエネーイス』が完成したコトを自ら認めずに

死後に火中に投じるように

などと遺言してたりする(遺言が実行されなくて現存してるるる~)

ホメロスを意識してのコトなのかどうか
第7巻の戦いの火蓋が切って落とされるトコロで物語は分割できるが
前半は『オデュッセイア』の如き冒険(漂流)譚で
後半は『イリアス』の如き戦記だ

長さもホメロス級で1万行以上(全12巻)に及ぶが
それでいて甚だしくも第1巻から
アエネーアースが築いた王国や子孫がどうなったか
またその後どうやってローマが建国されて
それがカエサルやアウグストゥスに至るのかが
既に【予言】として出てくるのである。(´д`;)ギャボ

つまり最初に結末がわかってしまってから、残り11巻・・・バタリ ゙〓■●゙

しかもその結末には程遠く全く辿り着かず
敵の大将が死ぬ場面でいきなり終わってしまうので
【予言】されてた事象は【予言】のままに幕切れとなってる。(゚д゚lll)ギャボ

ネタバレとかに神経使って生きてる輩には想像を絶する構成だが
ホラティウスの『詩論』Ab ovo.(卵から始める)てのがあるが
それこそトロイ戦争ならまだしも
ローマ建国の話がレダの卵から始まってもw

トロイでのアエネーアースには子も生した妻がいたが死に別れ
最終的にはラウィーニアを娶ってその地の王となるが
その間に恋に落ちたのはカルタゴの女王ディドで
アエネーアースとディドの愛憎劇はある意味1番のクライマックスだが
このディドとのエピソードが『アエネーイス』の最初にあるのだ

そりゃあアエネーアースにはトロイ再興の目的があり
そのためにそれが適う相手(ラウィーニア)と結婚したワケで
自分にはどうも政治的野心を持ってる人間は胡散臭く感じてしまうが
ダンテは妄想の中では恋愛第一主義のようでいて
現実では政治的野心を持ってたから、案外その辺も共感できるのかな?

『神曲』の筋立ては
神話・伝説上の人物や怪物と歴史上の人物が冥界においてどうなってるか
ダンテが確認しつつ冥界を巡る、とゆーモノだが
それらの人物はダンテの信仰と政治理念によって裁かれてて
裏を返せば、ダンテの信仰と政治理念を表現するために引き合いに出されたのだが
裁いたダンテ自身も公的には罪人であるトコロがおもしろいヽ(゚∀。)ノ

聖人は自身の悪しき部分を
傍から見たらたいしたコトなくても嘆き悲しむモノだが
少し狂人めいたくらいの極悪人ともなると過去の悪事や罪状を
もれなく自慢したりするモノである

どちらの場合も善悪の切り分けがはっきりしてて迷いがナイから
自身に対する省察が良くできてるのだが
ダンテのような平均的善人でも野心によって中途半端な罪人になったってのは
なんとか自身を社会的に正当化しようとしてもがくからこそ
葛藤や苦悩が多いのだろうか。(´д`;)ギャボ

それで『神曲』の出だしでは暗闇の森で迷ってるのだが
だからガイドはアエネーアースではなくウェルギリウスなのか。(゚д゚lll)ギャボ

野心家アエネーアースを描ききった詩人のウェルギリウス・・・

美少年が死ぬと花や星になるのが常だが
無骨な武人が死んで美少年と同じ花になるコトもあるとは。(゚д゚lll)ギャボ

アポロンに愛でられた美少年ヒュアキントスも
巨漢でボンクラで美しさの欠片もナイトロイ戦争の勇士アイアスも
実は同じヒアシンスの花になったらしい?!

(前略)また、いつか、名にし負う豪勇のアイアスが、やはりこの花に身を変じ、同じその花びらに、彼の名前が読みとれるだろう

これはオウィディウスの『変身物語』の中で
アポロンがヒュアキントスの死を悼む台詞の一部だが
予言の能力を持つアポロンがヒアシンスとなってしまったヒュアキントスを前に
後にアイアスも同じ花になるだろう、と言及してるるる~

ムキ~p(-_-+)q

初めて読んだ時には耽美主義者として
美醜を一緒くたにしてしまったオウィディウスの美的感覚に憤慨したね

愚鈍な大男が空威張りしてる醜悪さは何にも増して醜いありさまだが
トロイ戦争においてはその最たる人物がこの大アイアス(※)だ
頭に血がのぼるのは早いが頭の血の巡りは遅いタイプで
悪意はナイのだろうが大男にありがちな乱暴者と見做されてて
嫌われ者でもなかったろうが恐らく煙たがられてた向きはあったかと思われ
アイアスとゆー名の武将がもう1人いるためにその体位から大アイアスと称されてた

自分は悪辣で薄情なオデュッセウスも虫が好かナイが
それでも亡きアキレウスの武具の取り合いでオデュッセウスが勝って
アイアスざまぁwww、くらいに思えてたのだから
いかにアイアスが生理的に好かナイってか無意識の嫌悪感があったか・・・

このアキレウスの武具の取り合い~アイアスの自殺までは
オウィディウスの『変身物語』にはなんと26ページにも渡って描かれてるのだが
アキレウスの死後なのでホメロスの『イリアス』にはナイ場面だし
他のギリシア神話の挿話集には詳しく載ってナイ。(゚д゚lll)ギャボ

メタモルフォーシス ギリシア変身物語集 (講談社文芸文庫)
ギリシア・ローマ神話―付インド・北欧神話 (岩波文庫)
ギリシア悲劇〈2〉ソポクレス (ちくま文庫)

特に【アイアスのヒアシンスへの転身】はオウィディウスのオリジナルなのか
近代に至ってトマス・ブルフィンチが『ギリシア・ローマ神話』で取り入れてるのみだ
但しオウィディウスがオデュッセウスの主張(言い訳)に16ページも費やし
アイアスの自身の武勲とオデュッセウスの非についての演説にさえ8ページ使ってるのに対して
ブルフィンチはアイアスとオデュッセウスの台詞は総てカットしてるがね
それでもブルフィンチはヒュアキントスの死後のアポロンの長台詞は
オウィディウスをそっくりそのまま引用してるので
このアポロンの予言に辻褄を合わせて仕方なく(?)取り入れたのかヽ(゚∀。)ノ

またブルフィンチはその注釈に
その花がLarkspur(ひえんそう)の一種であり
学名がDelphinium Ajacis(デルフィーニウム・アイアーキス)だとしてて
つまり、ヒュアキントス≒ヒアシンス、アイアス≒アイアーキス
とゆー類似性も指摘してる
尤も学名の「アイアーキス」は近代になってから
むしろアイアスが転身した花を想い起こした学者(リンネか?)の方が
オウィディウスに倣って付けたのだろうから何の信憑性もナイがw

まあ今と違ってググれなかったのだから
ブルフィンチが該当する花を探し当てるのは大変な作業だったろう。(´д`;)ギャボ

Larkspurでググってみるとなるほどヒアシンスぽい花だね

Delphinium Ajacisでググってみるといかにもってカンジの鮮紅色のがあった

アイアスの自殺に焦点を当てたソポクレスの悲劇『アイアス』では
やはり【アイアスのヒアシンスへの転身】はナイのだが
その名に悲しい際に発する「AI:アイ」の音があるコトをアイアス自らが嘆いてる場面ならある

わしの名がこの不幸と、これほどぴったりとその音を合わすことになろうとは、(後略)

ヒアシンスのどの辺りが「AI」なのかは謎だが(-_-;)???

ところでアイアスの死を嘆き悲しむアイアスの妻テクメッサについては
オウィディウスにもブルフィンチにも全く記述はなく
ソポクレスの悲劇『アイアス』を読むまで知らなかったが
そんなだから既にこの悲劇が大アイアスの方だと知った時には驚愕した!
アイアスの自殺って全然悲劇的には思えなかったからね!!
アリストパネスなら喜劇になるかも、なんて意地悪な見方さえしてたのだ(゚*゚;)

しかし『テクメッサの嘆き』とゆー音楽によって導かれ
アイアスについて色々と読み返してみたら改めて可哀想に思えてきて
特にオウィディウスの『変身物語』は180度見解が変わった

ただでさえ血の巡りの悪そうなアイアスだから
狡猾なオデュッセウスと言い争って勝てるワケもナイと思うのだが
アイアスは確かに力は強かったのは間違いナイし
それをギリシア勢の中で認められてるコトが彼の誇りだっただろうし
認めてくれてるはずの仲間を信じてた

だからアイアスはあえて武力に訴えずに権利を主張したのだろうが
むしろオデュッセウスは弁論術なら絶対に勝てると思って挑んだのだろう
実際アイアスのオデュッセウス批判は尤もだし
オデュッセウスが非を覆すのに述べてるコトは雄弁とゆーよりは詭弁でしかなく
よくぞそこまで恥も外聞もなく開き直れると感心するくらいだが
そんなオデュッセウスの主張が通ってしまうのは
なんせアガメムノンが総大将なくらいだから
ギリシア勢の知的レベルがいかに低いかってものだ(;つД`)

しかしそれでいくらオデュッセウスに騙されてたからって
同胞のアイアスに対してギリシア勢の情け容赦がまるでナイのは酷いし
孤立無援となったアイアスがギリシア勢に抱いた復讐心と
その復讐を果たせなかった末に自殺に至った無念さは確かに悲劇だ、泣けてきた。・゚・(ノД`)・゚・。

『アエネーイス』第1巻の巻末には
トロイからカルタゴまでの艱難辛苦の旅路を物語ってくれるよう
カルタゴの女王ディドがアエネーアースに頼む部分があり
続く第2巻からアエネーアースのトロイ戦争譚が始まると予期させるが
その通りで以下のような構成で話は進む

第2巻 トロイ陥落
第3巻 トロイからカルタゴまでの漂流

こうして2巻に渡って語られるアエネーアースの回想は
ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』の間隙を埋めるような内容だ

「トロイ陥落」のシーンは『イリアス』にはなく
続編の『オデュッセイア』でオデュッセウスの回想として語られるのだが
勝者であるギリシア方のオデュッセウスに対して
敗者であるトロイ側のアエネーアースでは
同じコトでも見方は180度違ってくるワケで
その辺を併せ読むとどちらもより一層深みを増してくる

これはウェルギリウスが意識的にリスペクトしてるのだろうが
焼き直し(オリジナルをコピーしてるだけ)ではなく
隙間埋め(オリジナルにはなかったがそうだっただろうと思わせる付け足し)なのが
ヲタ的に嬉しいしその才気に感服せずにはいられナイ(-人-;)

しかし天才はウェルギリウスだけではナイ
ほぼ同時代のオウィディウスの『変身物語』も
ギリシア・ローマ神話の総決算的な挿話集となってて
『アエネーイス』と同じように
巻末の方には「トロイ陥落」以降のアエネーアースからアウグストゥスの帝政ローマまであって
これがまたちょうど『アエネーイス』で飛ばされてる部分が詳述されてるるる~

スタイル的にも両者は好対照で
オウィディウスの『変身物語』が幻想文学的で
ウェルギリウス『アエネーイス』は歴史スペクタクルだ

また『イリアス』と『オデュッセイア』は
何世紀にも渡って多くの吟遊詩人たちに謳われてきてるので
その間に練られてきたモノを文献の形にした際にホメロス作だと冠したが
実際にはホメロスだけの手によらナイコトが明白で
それに比するのもなんだがウェルギリウスとオウィディウスが
夫々に大叙事詩を一生の内に完成させたのはむしろ凄いと思うのだ

ところで『アエネーイス』で敵の大将トゥルヌス打倒で話が途切れてるのは
それから先の話がそれまでに何回か【予言】の形で出てるので
結末は全く不明ではナイどころか
当時のローマ人にしてみれば『アエネーイス』以降の話はよく知った話で
ウェルギリウスにわざわざ詳述されるまでもなかった

それぞれ独立してたローマ建国神話が1つに繋がって
最終的に時の人アウグストゥスに及んでるコトが肝要だったのだが
最も重要なのはその前に”原初に”何があったかなのだ

ギリシア人のルーツはギリシア神話にあるが
ローマ人のルーツもこれに倣う、自らが蹂躙した民族に倣うのだが
このローマ人の素直なおおらかさが人として美しくて好きだw

そして今更ながらタイトル表記の問題に触れておくと
ここでは慣れ親しんだ岩波文庫に倣って「アエネーイス」と統一したが
愛用の『世界史用語集』にも「アエネイス」とあるし
近年になるに従って長音無視の傾向なので(※)
長音を無視した「アエネイス」の方が今では一般的だと思ってた
死語であるラテン語ではネイティヴはいナイのだし、ましてや日本語表記となっては正しいもへったくれもナイ
ギリシア語でも長音無視型が当たり前となり、今では【プラトーン】と言ったら哲学者でなく映画のタイトルだw

しかしながらググってみると予想外に「アエネーイス」の方が多かった?!

本来のラテン語表記ではAeneisでこれを発音する場合は
岩波文庫版の解説にあるように母音の長短の別がはっきりしてて
実際にラテン語に忠実なのは「アエネーイス」だ

同じ理屈で主人公の名であるAeneasも
岩波文庫版の「アエネーアース」が正しい発音に近いようだが
ググってみたら「アエネーアース」はやはり少数派で「アエネアス」が1番多かった

でも次点の「アイネイアス」が日本では主流ぽい
岩波文庫版のオウィディウスの『変身物語』もこれだ

「アエネーアース」と訳した泉井久之助は
長音を正確に近い形で付し韻律を崩さずに訳してるからで
「アイネイアス」と訳した中村善也は
散文訳にしたので時代に即した長音無視型でも構わナイワケだ

両者ともそうして訳してる、と先に断りを入れてるので
Aeneasの日本語読みは訳者の考え方の違いでしかナイ

だがしかし!
ラテン語系列の原語の表記を調べてみたら
フランス語、イタリア語、スペイン語で順にEnee、Enea、Eneasで
どれも〔アイ〕で始まるのには違和感があるるる~
なので「アエネーアース」に統一した

作者の名前もラテン語の綴りはVergiliiなので
そのままの綴りで読み方を自国風にする英語圏では「ヴァージル」となってしまうし
日本でもそれと似た傾向があるのでローマ字読みで「ヴェルギリウス」とされたり・・・
まあラテン語についてローマ字読みってのもおかしいがヽ(゚∀。)ノ
あるいは英語圏経由で「ヴァージル(バージル)」となってたり
ダンテは『新曲』で「ウィルジリオ」とか「ヴィルジリオ」とか呼んでるし
どうにもいかんせんちぐはぐだったが
近年はラテン語発音に忠実な「ウェルギリウス」が汎用となってるようだ

岩波文庫ではもちろん「ウェルギリウス」となってて
自分もこれで行こうと納得してるのだが「バージル」には思い入れがある

イブの息子たち (1) (白泉社文庫)

青池保子のマンガ『イブの息子たち』に出てくるのだ、バージルとゆー詩人が!
これは当然ながらウェルギリウスがモデルだ!!

『イブの息子たち』は小学生の時に大好きだったマンガで
アレクサンドロス大王からニジンスキーまで
史上に異彩を放つ傑出したキャラが総出演してるのだが皆どこか壊れてたw

その中で信長の小姓の美少年で名高い森蘭丸と眼力勝負してたのが
準主役だったこのバージルだった

パタリロ 85 (花とゆめCOMICS)

同じ頃やはり愛読してた『パタリロ!』にも
(ってか今でも全巻&番外編も蒐集してるくらいだが)
美少年をなぎ倒す眼力の持ち主バンコランが登場するのだが
バージルとバンコランで勝負して欲しいものだし
森蘭丸とマライヒの一騎打ちなんてのも゚+.(・∀・)゚+.゚イイね

美少年同士が絡む図は睦み合うより死闘の方が絵になるのだ・・・ホゥ(*-∀-)

ウェルギリウスの『アエネーイス』の最初の方で
アエネーアースがアフリカ北岸(現チュニジア)に辿り着いた頃
息子の難儀に心を痛めてたアプロディテ(ウェヌス)は
父なるゼウス(ユピテル)にそれを訴えると
ゼウスはアエネーアースとその子々孫々に至る未来を語り
ヘルメス(メルクリウス)を遣いにやった

ヘルメスはカルタゴの女王ディドに
トロイ王家のアエネーアース一行を歓待するように告げるが
その一方ではアプロディテも息子のエロス(クピド)を遣わして
ディドに愛の矢を射てアエネーアースを愛するように仕向けたのだった

ギリシア神話ではアプロディテは泡から生まれたとされてるが
ローマ神話では母親は諸説あるようだが、なぜかゼウスの娘となってて
よってゼウスにとってアエネーアースは孫にあたるのでカワ゚+.(・∀・)゚+.゚イイのもあるだろうし
実母であるアプロディテが息子を庇護するのに理由など要らナイだろう

しかしゼウスの妻のヘラからすれば
アプロディテはゼウスが他の女に産ませた子なので本妻が妾の子を憎く思うほどには憎いだろうし
ましてや【パリスの審判】において美貌で「負け」の判定をされてたら
アプロディテに対してよく思いようがあるまい
その息子ともなればアエネーアース然りで
更に怨恨のあったトロイ王家が滅亡したコトで少しは気が晴れたヘラにとって
アエネーアースがトロイ再興をしようとしてるのは許し難かったに違いナイ

それでもゼウスの預言通りに
アエネーアースの子々孫々がトロイ再興、てか、ローマを建国するるる~

とはいえ、最終的には実在してたカエサルやアウグストゥスに至るが
アエネーアースもその後の子々孫々の物語も基本的にはフィクションなのだ

古代ギリシアではトロイ戦争の物語は人口に膾炙してたが
アエネーアースのその後は誰も知らず
英雄に祀り上げられたのはローマがギリシアを蹂躙した後のコトだ
蹂躙されつつも【教養】を誇ってたギリシアに認められるために
ローマの支配階級の家系がギリシアの神の系譜由来であると論証させた試みが
アエネーアースに始まる『アエネーイス』なのだ!

ローマ領において既に独立して存在してた神話や伝承を
史実との辻褄合わせのために少々手を加えてからパズルのように繋ぎ合わせてて
その調整の部分がウェルギリウスの創作ってワケで
だから本来のギリシア神話とは食い違ってる点が多かったりするのだ

アエネーアースはローマ人にとって実に都合の゚+.(・∀・)゚+.゚イイ人物で
ギリシア人の血統ではナイがギリシアの神の血統であり
息子の名がユールス(ユリウス)であった(※)コトが
その名を持つ一族にはまさに好都合だった!!
アエネーアースの息子はアスカニウスで、アスカニウスの息子がユールスだが
ウェルギリウスはアスカニウスの別称がユールスであるとした

現代日本人からしたらバカバカしい気もするけど
『古事記』由来の天皇家を未だ君臨させてるのだからそれもありか。(´д`;)ギャボ

クラウス:歌劇「カルタゴのイーニアス」より管弦楽作品集

ところで『アエネーイス』の中で1番のクライマックスと言えば
カルタゴの女王ディドが絶望して自殺してしまうシーンで異論反論はナイと思われるが
ディドにアエネーアースを歓待するように命じたのはゼウスだし
愛し合うように仕向けたのはアプロディテだ

アエネーアースが最終的にはイタリアへ旅立つ宿命なので
その準備を整えるためにもディドに力になってもらおうとゼウスが取り図ったのはわかる
でもディドを捨て置くコトになるアエネーアースに対して
ディドが恋するように仕向けるのは惨い!
愛と美の女神アプロディテがやるコトとは思えナイ!!

どうもアプロディテの庇護の仕方は
愛する美しい息子アエネーアースしか見えておらず
ディドはその犠牲者で「犬死に」と言っても過言ではナイだろう

ところでカルタゴはポエニ(フェニキア)人の「新しい町(※)」で
建国したのは女王のディドだが
ディドは元はテュロス(レバノン海岸にあるポエニ人の町)の先王の妻であり
その先王を殺害して王に収まってるのがディドの兄だったりして
夫殺しの悪辣な兄に愛想が尽きたので故郷を去り
夫の意志を継いで国を興したのだ
カルタゴは正しくはカルターゴーで「新しい町」を意味する

恋をした相手に捨てられたからって自殺するような
そんなに脆い女性にはとても思えナイのだが
トマス・ハーディの見解は正しいのかもしれナイな

強気の女がその強気を投げ棄ててしまふと、投げ棄てるべき強さなどは全く持たない弱気の女よりもっと弱くなるものである。

LINK:バスシェバの燃える想い

ちなみにテュロスはポセイドン(ネプチューン)の息子アゲノールを祖とするが
『アエネーイス』の脚注にポセイドンはアプロディテの夫とされてるるる~

って、ちょっと待て!

アプロディテがポセイドンの妻とな。(゚д゚lll)ギャボ
そんな設定は『アエネーイス』以外では覚えがナイってばよ!!
本来ならアプロディテは鍛冶の神ヘパイストス(ウルカヌス)の妻で
軍神アレス(マルス)が不倫相手で
アンキセスは浮気相手の1人に違いナイのだが
ポ、ポセイドン・・・???

いずれにせよ、アプロディテはローマ神話に取り込まれて
ギリシア神話以上に恋多き女になったのは間違いナイ
もしかしてこの浮気癖がゼウスにそっくりだからって娘とされたのか?!

ウェルギリウスの『アエネーイス』の構成は
結末を冒頭で先に告げておいて全12巻をとくと読んでもらおう
って自らネタバレする大胆不敵さだが
当時(アウグストゥスの頃)『アエネーイス』を読む人は
アエネーアースがローマ建国の祖であると知ってて読んでたのだから
ある意味ネタバレの心配のしようもなかったかもだ

第1巻の巻頭でも

わたしは歌う、戦いと、そしてひとりの英雄を――。
神の定める宿命の、ままにトロイアの岸の辺を、
まずは逃れてイタリアの、ラーウィーニウムの海の辺に、
辿りついた英雄を――。

と謳われて始まるので
そのすぐ後に「トロイを出航したアエネーアース一行が
ユノー、つまりヘラの妨害で暴風雨に遭って
新トロイア(現イタリア)を目指してから7年を費やしてた」とあっても
ヘラの妨害なんのそのでイタリアに辿り着いてしまうとわかるw

ただちとわかりづらいのが
なぜヘラがアエネーアースを妨害するのかだ

1つは【パリスの審判】で
トロイの王子パリスがヘラ、アプロディテ、アテナの3柱の女神から
最も美しい女神を結果的にアプロディテと判定した

そもそも判定役はヘラの夫のゼウスだったのだが
誰を選んでも他の2柱からの怨恨は免れナイだろうと臆したのか
この役目をパリスに振ったのだ

まだパリスがイデ山で羊飼いをしてた時
金の林檎を持ったヘルメスと上記3柱の女神が現れて
最も美しい女神に金の林檎を渡すように促され
女神はそれぞれに選ばれた際の賄賂をパリスに約束して
なんとか選んでもらおうとする(女神のワリになんつ~姑息なw)

これでアプロディテが金の林檎を受け取ったので
約束の賄賂である世界一の美女ヘレネをパリスに賜ったワケだ
(おかげでトロイ戦争が勃発してしまうのだがね)

ヘラとしては最高神ゼウスの妻であるプライドからも
アプロディテに負けたのがよほど悔しかったのだろうが
ヘラはこの恨みや怒りを判定したパリスにぶつけ
このコトが尾をひいて始まったトロイ戦争でもヘラはギリシア勢を応援してた
てか、ヘラはパリスをトロイもろとも叩き潰したかったに違いナイ。(´д`;)ギャボ

なぜならヘラは以前からトロイ王家に怨恨があったからだ
これがゼウスによる【ガニュメデスの誘拐】事件で
本来なら浮気性の夫のゼウスに向けるべき怒りだと思うのだが
女ってモノはヘラに限らず、どうも相手の女を呪ってしまう傾向があるようで
女神とはいえ、ヘラももれなくそんな女だった。(゚д゚lll)ギャボ

ちなみに相手はトロイのガニュメデス王子で男なのだがなヽ(゚∀。)ノ

トロイ戦争 (洋販ラダーシリーズ)

ところでガニュメデスとパリスとアエネーアースは揃いも揃って超絶美形らしいが
稀有な美形を続々排出しまくるトロイ王家についてちょっと解説

トロイ王家の祖はトロス王で
このトロスの祖父がダルダノスで
ダルダノスはゼウスがアトラスの娘エレクトラに産ませた子だ
って、またゼウスのお手つきかょ(;つД`)

だいたいアトラスとオケアノスの間に生まれた7人の娘は
ゼウスがお手つきしまくりで
エレクトラが産んだのがダルダノスだが
ターユゲテーが産んだのがラケダイモンで
マイアが産んだのがヘルメスだ

パリスの生まれたトロイ王家の祖であるトロスの祖父ダルダノス
ヘレネの生まれたスパルタ王家の祖であるラケダイモン
そして【パリスの審判】で金の林檎をパリスに授けたヘルメス
皆アトラスとオケアノスの7人の娘から産まれてたのだ、しかも父親はゼウス(※)・・・バタリ ゙〓■●゙
残りの娘はゼウスの兄弟であるポセイドンのお手つきだったりする

自分も今まで気づかなんだが
アトラスとオケアノスの7人の娘は
トロイ戦争にとっては宿命的な存在だったのだな?!

トロイ王家に話を戻すと
トロスの一番上の息子はイーロスでこの名がイリオンの地名になり
二番目のアッサラコスが兄イーロスの娘と結婚して生まれたのが
アンキセス・・・後のアエネーアースの父なのだ!

そして一番下がガニュメデス王子で
結婚する前にゼウスに浚われて、神々の宴で給仕をさせられて、ヘラには睨まれて
挙句に星(水瓶座)になった美少年だ!!

アンキセスも美の女神アプロディテの寵を得るほどの美形で
間に生まれたアエネーアースも美麗なのは当然か?!

プリアモス(別名ポダルケース)はイーロスの息子で
アンキセスからすると複雑な系統にあたり
母親の腹違いの兄で父親の兄の息子って、え~と(-_-;)???

更にメンドウなのはアンキセスの息子のアエネーアースが
プリアモスの娘(ヘカベが産んだクレウーサ)を妻にしてる点だが
アンキセスからするとプリアモスは息子の嫁の父親ってコトになって
これがある意味1番わかりやすいか

以上の系譜はアポロドーロスの『ギリシア神話』を参考にしたが
ギリシア神話の家系図を調べる時には最も役に立つ。・゚・(ノД`)・゚・。

louis14

フランス革命前のフランスで
貴族とも教会とも対立的な立場にあった啓蒙思想家のヴォルテールが
太陽王ルイ14世についてどんな描き方をしてるのか
興味津々で『ルイ十四世の世紀』第1巻を購入したのは2007年だった

永らく岩波文庫ではよくある重版未定となってたので
神保町界隈で4巻セットで1万円以下で(できればもっと安価で)探してたが
好奇心に負けてアマゾンでとりあえず1巻のみ購入

巻末の解説から読み始めたが、そこにはヴォルテールの以下の言葉があった

コルネーユ、ラシーヌ、或は、モリエールの筆になる台詞、フランス人のはじめて耳にするリュリの音楽、・・・ボシュエやブルダルーの声等が、ルイ14世、趣味のよいので有名な王弟妃殿下(マダム)、コンデ、チュレンヌ、コルベールのような人々をはじめ、あらゆる分野における卓抜な人士に味われた・・・こういう時代には、後人の注目に値する、といって差し支えなかろう。『箴言』の著者ラ・ロシュフーコー公が、パスカルやアルヌーと談笑した上で、コルネーユの作品の上演を見に出掛ける・・・こういう時代が、またとあるだろうか。

自分はほとんど滅多に人を羨むコトはナイが
これは素直にラ・ロシュフーコーが羨ましいと思えた一文で
ヴォルテール自身も同じ気持ちで書いたと思われ・・・ホゥ(*-∀-)

運と気まぐれに支配される人たち―ラ・ロシュフコー箴言集 (角川文庫)

更に冒頭にはルイ14世の世紀の定義付けがあり
第一の世紀としてフィリップとアレクサンダーを挙げ
第二の世紀にはシーザーとアウグスツス
第三の世紀がメディチ家によるイタリアのルネッサンスで
ルイ14世の時代を第四の世紀としてて、自分にはどの世紀もツボだったのだが
実際の文面では以下のように哲学者や詩人を挙げてて
絶大な権力者が台頭しただけでなく、文化の円熟期であったのを踏まえてたので
解説と1ページ目だけで既に感動の坩堝。・゚・(ノД`)・゚・。

(前略)まず指を屈するのは、フィリップとアレクサンダーの時代だが、ペリクレス、デモステネス、アリストテレス、プラトン、アペレス、フィディアス、プラクシテレス等の代といってもよい。(中略)第二は、シーザーとアウグスツスの時代で、これもルクレティウス、キケロ、リヴィウス、ヴェルギリウス、ホラチウス、オヴィディウス、ヴァロ、ヴィトルヴィウス等の名前で知られている。第三は、(中略)トルコ人に国を追われたギリシアの学者達を、メディチ家でフィレンツェへ招聘したのである。

他にもミケランジェロ、ラブレエ、ガリレイが挙げられてて
この後の展開は否が応でも文化史を中心に記され
さぞやルイ14世の時代の華々しさが綴られるのだろうと期待に胸が膨らむが
第2章から第24章まではフランス戦史を忠実に記述してるだけなので
史料としては申し分ナイのだがいかんせん面白味には事欠く。(´д`;)ギャボ

ここではまず、王の治下の戦争と外交に関し、主な事件を述べることにする。

と、確かに第1章の最後にあるのだが
まさか第24章までそれが延々続くとは思わなんだヽ(゚∀。)ノ
ちなみに第1巻は第16章までなのであるるる~

それでも17世紀フランスの絶対王政の史実を踏まえてこそ
その行き詰まり・・・要するに18世紀のアンシャン・レジーム(旧制度)だが
改めて的確に感じ取れたし、各国の様子も把握できたのは収穫だった

ルイ14世の頃のイギリスではイングランド王ジェームズ2世が専制を強行したのを最後に
名誉革命で一足お先に絶対王政が崩壊し、替わって議会が国政を掌握し
近代民主主義の根本原則である立憲政治が早くも実現してたが
この時のイギリスとフランスの時代の差がどれほど大きく水をあけたか。(゚д゚lll)ギャボ

ヴォルテールは『哲学書簡』でイギリスの文物をフランスに紹介するが
イギリス賛嘆を持って暗にフランスの後進性を批判してた

それにしてもいくら戦勝に次ぐ戦勝だとしても
ルイ14世の人間性が全く語られナイままに第1巻の第13章で

この頃が、王の全盛時代だ。

といきなり締め括られてもね、ポカーン。(゚д゚ )

確かにルイ14世は即位以来ずっと全戦全勝で領土は拡大する一方なのだから
そういう意味では全盛期には違いナイのだろうが
アレクサンドロスやカエサルと等しく「偉大な」と思えるような
個人的に秀でた活躍が何ら見当たらナイので
「全盛」と言える盛り上がりの華やかさが微塵も感じられず、意外な気さえしてしまう

同じく第1巻の第13章にはそれこそアレクサンドロスやカエサルと比して
「大王」の称号が与えられたコトが記されてた

(前略)パリの市当局が、祭典を催して大王の尊号を奉呈(1680年)、(中略)ただし、民衆の間では、ルイ14世の方が、大王より通りがよかった。何もかも習慣しだい。(中略)大ヴェルギリゥス、大ホメロス、大タッソーなどと、いうものはあるまい。アレクサンダー大王も、いつの間にか、呼び捨てにされるようになった。
シーザー大帝(セーザール・ル・グラン)では、とうてい話にならぬ。(中略)尊号など、後世の人には無用の長物だ。立派な仕事をすれば、名前だけで十分、余計な言葉を並べたのより、はるかに襟を正させる。

ここへきてやっとウェルギリウスやホメロスの名を目にしたが
このくだり以外には第24章まではもうそういった感性の豊かな人物は見当たらナイので
第1巻(第16章まで)を読んだだけでは
著者のヴォルテールがワリとつまらナイ人物と誤解されるやもしれん(゚*゚;)

aeneas

海からやってくる商業民族を
ギリシア人はフェニキア人と呼び、ローマ人はポエニ人と呼んだが
どちらも「紫の、もしくは紅の人」の意で
その由来は彼らが得意とする貝染めの紅紫色だと
ゲルハルト・ヘルムの著書『フェニキア人―古代海洋民族の謎』を読んで知った

ナショナル ジオグラフィック [DVDブック] ビジュアル保存版 古代ギリシャ フェニキア 地中海に生まれた文明の興亡 (ナショナルジオグラフィック DVD BOOK)

ユーフラテス河上流域で遊牧生活を送ってたヘブライ人は
カナンの地(現パレスチナ)に暮らす彼らをカナン人と呼んだが
ヘブライ人は神にカナンの地を与えられたので
先住のカナン人を追い出して、カナンの地を侵略した。(´д`;)ギャボ

追われたカナン人は移住を余儀なくされ
地中海東岸(現レバノン海岸)に開港都市を築き
海上交易によって栄え
紀元前12~11世紀頃にはシドンやティルスが最も繁栄した

但し、ビブロスだけはエジプト神話にも登場してるので
古くから都市国家があったのかもしれナイし
逆にアフリカ大陸の北岸(現チュニジア)にカルタゴを興したのは
紀元前9世紀よりは後(※)だと考えられてるるる~
便宜上、カルタゴの建国については紀元前814年とされてるが裏付けはナイ

とりあえずウェルギリウスの『アエネーイス』では
カルタゴの初代女王だったディドが
トロイ王家の唯一人の生存者アエネーアースを歓待するが
これはおかしな話なのだ
なんせディドは紀元前9世紀より後の人だが
トロイ戦争が起きたのは紀元前12世紀頃なのだからヽ(゚∀。)ノ

ウェルギリウスがなぜ2人を同時代人に設定したのかは
フェニキア人の都市ビブロスがエジプト神話に出てくるコトから
古代ギリシアの歴史家がカルタゴも同じくらい古いと考えてたようで
そんな資料を用いたであろうウェルギリウスには
史実として信じられてたからなのだ!

そもそも『アエネーイス』は
『イリアス』や『オデュッセイア』以上に明らかなフィクションで
言い方は悪いがローマ帝国が捏造した歴史書なのだ。(゚д゚lll)ギャボ

これはオウィディウスの『変身物語』然りで
どちらも文学作品として(の価値はまた別問題で)秀逸である事実は否めナイが
史実ではなく、神話と伝承をベースにした再話なのだ!!
だからウェルギリウスがこれを焼却するよう遺言したのは
政治に利用された感が拭いきれなかったからなのではと思われ

フェニキア人はアルファベット(の基)を発明したが
自らの民族の歴史を書きとめたりはしなかったので
史実としては古代ギリシアの文献に断片的に残ってる記述とか
他民族の手によるモノばかりであるるる~

例えば、紀元前3世紀のアレクサンドロス大王のティルス攻めは
東征に随行した書記官によって記された

それにしても『フェニキア人』はこのティルス攻めの詳細から始まってて
町を破壊しつくして、2,000人を磔にした、とあり
東征中にアレクサンドロスが最も冷酷無比な処置をしたのが
このティルスに対してなのは明白だ・・・バタリ ゙〓■●゙

先住の地を追われたり、開港都市を築けば惨滅されたり
酷い扱いを受け過ぎな民族で憐憫の情が湧いてしまうのもあるし
商売のセンスもあるがクリエイティヴな民族でもあり
謎の部分が多いのもまた魅力的なのだが
だから英雄としてハンニバルの名が挙がるのは嬉しく思う

ハンニバルはローマ軍とのポエニ戦争でのカルタゴの将軍で
カルタゴ・ノヴァ(現スペインに位置する)から
まさかのアルプス越えを行ってローマ軍に圧勝した際の指揮官だ!

ポエニ戦争ではカルタゴが新興勢力のローマと
シケリア(現シチリア島)を奪い合って3度に渡って戦い(※)
スキピオによって最終的にはローマが勝利を収めたが
カンネー(カンナエ)の戦いでハンニバルの得た勝利には胸がすく!!
長くなるので今回は端折るが、この戦争でローマがシケリアを獲得した意義は大きかった

ローマ占領下となったカルタゴはローマ帝国の滅亡後も
西ローマ帝国の統治下に置かれたり
ヴァンダル族が侵入して王国を建国したり
東ローマ帝国の属州になったり
イスラム勢力に次々と侵略されてったり
十字軍に攻め込まれたり
オスマン・トルコ領になったり
フランス保護領とされたり
1956年になってやっとチュニジア(※)として独立した
チュニジアの呼称はイスラム勢力の侵略以降

そうしてフェニキア人はエジプト神話から現代に至るまで
激動の時代を耐え忍びながらもしぶとく繋いできた