マキャヴェリズムが何か?

岩波文庫からの復刊にマキアヴェッリの『君主論』があったが
これは残念ながらとゆーか当然とゆーか
新訳(河島英昭訳)であった

巻末の訳者による詳細な「解説」も含めて
黒田正利訳がとても気に入ってて
買い直すならやはり黒田訳と思ってたので今回は見送った

しかしそうなのだよ
買い直さナイとヤヴァイくらいによごよごなのだ。(´д`;)ギャボ
今更ながら黒田訳は大切にしよう!
参照する時はなるべく筑摩世界文学大系の方(※)にしよう!!
野上素一訳

それにしても河島訳のアマゾンのレビューは
なんだってこんなに酷評が多いのだ。(゚д゚lll)ギャボ
他の訳書も著作も何も読んでナイ自分としては
むしろどれだけ酷い訳なのか読んでみたい気もしてくるがw

でも岩波文庫的には復刊するくらいだから
特に問題ナイ訳って認めてるはずで
これはもう是非とも手にとって確認したい一冊だな







『君主論』の冒頭にあるのがまず献辞で
「ロレンヅォ・マニフィコ・メディチに奉る書」とある

メディチ家のロレンツォ(黒田訳ではロレンヅォ)と言えば
最盛期の当主大ロレンツォの方なら
ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロの才能を
余すトコロなく発揮させた人物だ(^▽^*)

実際に海外旅行などするヨユーはナイ勤労者だが
もし世界中の数多ある美術館の中で1つだけ観に行けるとしたら
迷わずウフィツィ美術館を選ぶ
単なる寄せ集めでなく
地元フィレンツェ出身者やその気候風土が培った芸術家の中でも
メディチ家の当主が厳選した最高峰の作品を堪能できるのが
たまらなく魅力的だからである

まあもっと端的に言えば
画家として1番好きなのがボッティチェリだし
作品として1番好きなのがダ・ヴィンチの『受胎告知』だ

だがしかし註釈と巻末の「解説」によれば
このロレンツォは大ロレンツォではナイヽ(゚∀。)ノ

大ロレンツォの時代背景のイタリア・ルネサンスは
ルネサンスの創始であり最盛でもあったが
厳密にはイタリア全土ではなくフィレンツェであった

当時のイタリアは
中部にローマ・カトリックの教会領があり
南部にはナポリ王国があり
勢力争いをしてたのだが
これらの均衡を保つ役割を担ってたのが
トスカナ平野に在したフィレンツェだった

東方貿易と毛織物生産と金融業で栄えたフィレンツェは
14世紀初頭には全人口が20万を突破して西欧最大の都市となり
繁栄を誇る一方では貧民も激増していき
貧富の格差が階級を生み対立し政党抗争も激化した
13世紀末には共和政だったのだが
1434年に大富豪メディチ家の当主コシモが僭主に納まってからは
メディチ家の当主による独裁体制となった

のちに商家であるメディチ家の娘が
仏王アンリ2世に嫁した事実から見ても
その財力が権力を凌ぐほど相当なモノだったと予想されるが
政治的手腕以上にパトロンとして理想的な人物であったコシモは
オスマン・トルコによって滅ぼされた東ローマ帝国から
ヴェネツィアに亡命してきた古典学者たちを
フィレンツェに招聘して手厚く保護し
プラトン・アカデミーを設立した

こうして先の最盛期を迎えたメディチ家だったが
大ロレンツォ亡き後は凡庸な当主ピエロによって傾き
先代までの威光をすっかり失ったフィレンツェはナポリと同盟し
これが元でフランスに占領される憂き目に遭う

没落したメディチ家と腐敗した教会組織は悪政に陥り
これらと真っ向から対立して政権を掌握したのが
ドミニコ派の僧侶サヴォナローラで
1494年にはメディチ家をフィレンツェから追放するに至るが
そのわずか4年後の1498年には反対派によるクーデターにて失脚

火刑に処されたサヴォナローラの政策には
享楽的な芸術を廃止する動きがあり
演説で涙ながらに訴えられて
感受性の鋭いボッティチェリもすっかり打たれてしまい
あろうコトか官能的な作品を自ら焼き払い
その後の作風も暗く変貌してしまった。・゚・(ノД`)・゚・。

サヴォナローラ失脚後のフィレンツェ共和政府で
内政外交に活躍したのがマキャヴェリだったワケだが
フィレンツェとゆーよりはイタリア全土を救済すべく東奔西走してた

1512年にフィレンツェのメディチ家支配が復活し
マキャヴェリはフィレンツェを追放されたが
しかしメディチ家もなんだね
マキャヴェリほどの逸材を捨て置くとは勿体ナイ話だよ
芸術家には目ざとい分、政治家には疎いのか・・・(-_-;)???

そんなメディチの名を称するのが
レオナルド・メディチ・ブンドルなのだ・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ
『戦国魔神ゴーショーグン』のドクーガ幹部で
権勢を振るう耽美主義者とゆー異色のキャラ設定だが
彼が子孫なのかどうかは疑わしいw

付け加えればマキャヴェリは
メディチ家不在時にフィレンツェを支配してたのではなく
イタリアが他国に支配されるのを極力防ぐために尽力してたのだ
完璧とは言えなかったが
それ以上の最善は施しようがなかっただろう

またマキャヴェリが『君主論』と並行して『ローマ史論』を著したのは
この追放による政界引退直後のコトであった

最後になるが
『君主論』から派生したとされるマキャヴェリズムなる言葉が
どうも独り歩きしてる感があるので付け加えるが
『君主論』は権謀術数主義についての解説本でも実践本でもナイ
古代ギリシア・ローマ~(マキャヴェリにとっての)現在の統治者たちが
何を持って統治できたのか、あるいは失敗したのか
その事由を考察した政治に特化した歴史書とでも言おうか

あるいはもっと端的によりぬき『ローマ史論』とでも言おうか
メディチ家の当主が興味を持って
権勢の歴史を紐解くコトができるように書かれた献本だ

続く

解剖学者ヴェサリウス

ルネサンスまで書物はずっとラテン語で読み書きされてたワケだが
内容もローマ帝国時代のままだった

哲学や思想、文芸は普遍の真理に基づいてるので
時代背景の違いを考慮すれば2,000年の時を隔てて読んでも通じるが
科学は日進月歩なので数年前の本でさえ新説に覆されてしまう可能性があり
古代ギリシア・ローマからルネサンスまで同じ学説が
真偽の検証ナシに権威によって受け継がれてたのは驚異であり脅威だった

学生時代に解剖生理学や病理学を学んでたが
その項目の1つ1つに医者が向き合って解明してきた歴史の重みを感じてて
中でも人体の解剖図は画家や版画家との二人三脚だったりで
その変遷に興味を持った

レオナルド・ダ・ヴィンチは多岐に渡る天才だが
自分が最も評価してるのはその解剖図の緻密な筆致から醸し出される美しさだ

ルネサンス期のもう一人の万能の天才ミケランジェロも
解剖によって精確に筋骨を把握して作品に反映してたのだが
システィーナ礼拝堂の天井画に脳(神経)の解剖図が隠し絵として描かれてるコトが
近年になってジョンズホプキンス大学の脳外科から論文発表されてた
LINK:ミケランジェロの「隠し絵」神の姿に脳幹解剖図

しかしダ・ヴィンチもミケランジェロも医者ではナイ
でもだからこそ当時の医学における権威に屈する必要がなく
解剖したままを精巧に描くコトが許されたのだろう

ここで笑えるのがその権威が2世紀のローマのガレノスだった事実だヽ(゚∀。)ノ

なので16世紀にヴェサリウスが登場するまで
医者が学んだ解剖図はせいぜいモンディーノやケタムなどの
ヴェサリウスと比しては余りにも稚拙なモノであった・・・バタリ ゙〓■●゙

謎の解剖学者ヴェサリウス (ちくまプリマーブックス)

そういういきさつを『謎の解剖学者ヴェサリウス』を手にして知ったのは
学校で解剖学を学んでた時からもう10年以上も経ってたが
やっと巡り会えた答えに感動して泣きながら読んだ。・゚・(ノД`)・゚・。

なんせヴェサリウスの生涯やその著書の紹介もさるコトながら
解剖学の歴史的変遷の大きな流れの中での生きザマに迫ってるのがたまらなかった!

改めて科学を愛する気持ちは人間を愛する気持ちから発してるのだと気付いた
つまり科学者の身を削るような努力から見出される真実それ自体と
真実を探求して止まナイ科学者の純粋な欲望に忠実に生きるその生きザマだ!!

解剖学とかまるで興味ナイ人が読んでも平易に描かれてるので
ヴェサリウスの情熱に胸が熱くなるであろう・・・とここまで薦めておいてなんだが
残念ながらこの本は現在(2012年7月)絶版状態となっており
ヴェサリウスの著書『ファブリカ』や『エピトメー』の邦訳とか他の解説本なども
日本においては尽く絶版状態だ。(´д`;)ギャボ

但しヴェサリウスの偉業の断片はむしろネットで簡単に見るコトができる
LINK:Vesaliusの解剖図

骨格人をよく見るとその叙情的なポーズと牧歌的な背景とが相俟って
繊細な芸術作品のように仕上がってるので見落としがちだが
防腐処理などなかった時代に死刑囚の遺体を解剖してスケッチしたモノで
気を失いかねナイような想像を絶する臭いの中でだったろう。(゚д゚lll)ギャボ