大いなるパーンは死せり

昭和生まれで子供の頃に星座の名の由来に興味があったなら
きっと野尻抱影の本を読んでただろう

自分ももれなくそんな一人で
ギリシア神話自体が野尻の著書で初めて読んだし
そこに鏤められた星座に纏わるエピソード群を拠点として
ギリシア(ローマ)神話の世界観が構築されてったが
一通りわかった気になったトコロで手放してしまって四半世紀経過ヽ(゚∀。)ノ

代わって、この10年来に何十冊もギリシア・ローマ神話の本を購入したが
読めば読むほど、その世界観が覆されてった。(゚д゚lll)ギャボ

同じエピソードでも著者によって内容がマチマチであり
しかも辻褄が合わナイのを無理矢理こじつけてたりするので
改めて神話に異説は付き物だと思い知った。(´д`;)ギャボ

所詮は神話であって
史実でナイのはもちろんだが単なる伝承や英雄伝説より信憑性に欠くし
そこに最初から真も偽もナイのだが
だからこそ自分にとって納得が行くように編纂して
真とすれば゚+.(・∀・)゚+.゚イイとも思うのだ

むしろ史実だって確実な事象は確固たる事実として脳内に留めるが
それ以上にその時代を担った人々の心理を読み解いて
真実がどうあったのかを思索するコトこそ
歴史を学ぶ意味があるるる~

総ての神話はぶっちゃけ人間による創作だろうが
神話を創り上げる過程においてどんな想いがあったのか
神や怪物は何の比喩で、英雄に映し出された理想の人間像は何の教訓か
そしてなぜ民族の中で信じられて伝えられてきたのか
そこを深読みするのが醍醐味なのだ(*^^*)

ニーチェとヘーゲル―ディオニュソス哲学の地下通路

それにしたってニーチェが『悲劇の誕生』で比喩に使うほど
アポロンもディオニュソスも明確な切り分けができるキャラクターではなく
逆にギリシア神話の神において最も近しい2柱とも言え
違うのは容貌の美醜と信奉されてる場所(神殿か森か)くらいだ

なんせ両者とも音楽と酒がついて回り
美女との恋愛には全く縁がナイ非モテなのだ・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

ツァラトゥストラ (中公文庫)

ニーチェついでに『ツァラトゥストラ』で「神は死んだ」てのがあるが
これはプルタルコスの『モラリア』【5】「神託の衰微について」に
船上で「大いなるパーンは死せり!」との天の声を耳にした逸話が載ってて
後世のご都合主義のキリスト教が
古代の総ての神に代わってイエス・キリストが唯一神になった
などと勝手に解釈したのだ(゚*゚;)

逸話自体に何の根拠もナイのに
それに対するまた更にまるで根拠のナイ解釈で
まともなおつむをしてたらとても納得できナイが
これを当然のように妄信してしまうキリスト教徒に危惧して
この台詞を逆手にとって皮肉を言ってるのだ

モラリア〈5〉 (西洋古典叢書)

だがしかし
自分にはこのプルタルコスの伝える逸話にどうも不信感を抱いてて
3年前にやっと邦訳された『モラリア』【5】を読んでみて
謎が解けた気がしたΣ(゚д゚lll)ガーン

まあ謎解きは長~くなるから後日にして
とにかく酒の神ディオニュソス(バッカス)と牧神パーンと
山羊の角と脚を持ったファウヌス、サテュロス、シレノスの類は
ギリシア・ローマ神話の中で混同されてるので
あちこち読み漁るほどに困惑が増すとゆー有り様なのだが
そんな迷宮から脱出するのには初心に帰るのが1番で
前述したかつての愛読書である野尻の『星の神話・伝説』を入手して
「やぎ座」の項目をたった2ページ読んで万事解決p(-_-+)q

 山羊といっても、魚の尾をしているふしぎな『海山羊』です。そして、これもいて座の半人半馬の怪人などとおなじく、西アジアの星座から伝わったもので、バビロニアの古い彫刻にこの姿が残っています。

そうなのだった!
これらの半獣神の起源はバビロニアの占星術由来なのだった!!
で、1年前に書いた記事[Goats Head Soup]を大幅に修正した(汗)

 パアンというのは、ギリシアの森林と野原の神で、山羊の角と、毛のはえたとがった耳で、足にもひずめがありました。
 彼はいつも山のほら穴に住み、いたってのんきで、遊び好きで、夕ぐれになると穴から出てきて、おなじ半人半獣のサチュロスと、森や谷川の精女(ニンフ)たちを追いまわしたり、ヨシの茎で作ったシリンクスという笛をふいて羊飼いや精女(ニンフ)たちとおどったりしていました。
 あるとき、神々がナイル川の岸で酒盛りをひらき、パアンはヨシの笛をふいて、興をそえていました。そこへ、怪物ティフォン(うお座参照)が現れたので、神々はあわてて、思い思いの形にかわってにげました。パアンも山羊になってナイル川にとびこんだのですが、水にひたった部分だけ魚の尾にかわり、外にでていた部分は山羊のままでした。
 このできごとの記念に、大神ゼウスが、その形を星座に伝えたといいます。しかし、これは、山羊の尾が魚になっているのを、むりに説明した話です。

スッ ━━━━━ ゚+.(゚∀゚)゚+.゚━━━━━ キリ!

ちなみに日本語版Wikipediaの山羊座の項目
出典は明らかにされてはいナイが間違いなく野尻のこの本だなw

うお座参照、とあるのでうお座も見てみるるる~

 この二ひきの魚は、愛の女神アフロディテーと、その子エロースとが、ユウフラテス川の岸を歩いていると、怪物ティフォーンがおどしにでてきたので、親子はあわてて川へとびこみ、魚にばけて逃げました。
 その記念にアテーネ女神が、二ひきの魚を星の間に加えたものと伝えられます。
 この神話は、やぎ座、みなみのうお座にも通じていますが、古代バビロニアでも、この星座を魚と呼んで、女神アシュタルテとその子になっていたので、それがギリシアに伝わって変化したものと思われます。アシュタルテは、ギリシアのアフロディテー(ヴィーナス)と同じ女神で、星では金星にあたります。

このバビロニアのアシュタルテは
アッシリア(アッカド語)のイシュタル由来で
イシュタルは元はと言えばシュメールのイナンナなワケだが
イナンナの夫がドゥムジ、イシュタルの夫・・・もとい愛人はタンムズとなり
このタンムズへの信仰が「大いなるパーンは死せり!」の
謎解きの鍵なのだ・・・愉しいねえ(^▽^*)