ベランジェ、そしてフローベールとボードレール

『ベランジェという詩人がいた』からのネタは続く・・・

ベランジェが訴えられて
第1回目の裁判があった1821年に
フローベールとボードレールが生まれた

2人ともベランジェに対しては批判的だそうだが
そうするとヴォルテールに対しても非難を浴びせてるのは
然りなんだろうか

フローベールは『ボヴァリー夫人』で
オメーとゆー自分からしたら理想的な男性像を描いてるので
オメー=フローベールなのでは、とすっかり誤解をしてたのだが
フローベールからするとオメーは
ベランジェやヴォルテールと同じ神を敬う
好まれざる人物像なんだ・・・。(゚д゚lll)ギャボ

自分もこの2人にはさぞや嫌われただろうな(苦笑)

ちなみに
フローベールの『ボヴァリー夫人』も
ボードレールの『悪の華』も
裁判にかけられ
『ボヴァリー夫人』は無罪
『悪の華』は有罪
だった・・・

ベランジェ自身は2度の裁判で2度とも有罪になり
罰金を課されて投獄される

第1回目の裁判で問題になったシャンソン集は
以下の4つの争点について審議された

風俗壊乱
公共の倫理、宗教倫理の冒涜
王個人の侮辱
反乱幇助

あるシャンソンの一部の意味や
あるシャンソンの全体のイメージの
意図するモノが上記4つに該当してるかどうか?

結果
当初は公共の倫理、宗教倫理の冒涜反乱幇助
該当すると有罪判決を下されて
のちに反乱幇助に対しては
やはり無罪だったと判決が覆された

結局のトコロ最後まで引っかかったのは
宗教倫理の冒涜、ってヤツなんだな・・・。(´д`;)ギャボ

これはもう現代の日本人からしたら
有罪になるのがむしろ不条理だとしか思えナイ

だがしかし
自分も今まで知らなかったのだが
ベランジェより1世紀ほど古い時代には
ルソーの『エミール』やビュフォンの『博物誌』まで
発禁になってたそうだから侮れナイ

さすがに
フローベールの『ボヴァリー夫人』は無罪となったが
これが有罪になってたら余りにもナンセンスだよな。(゚д゚lll)ギャボ

ボードレールの『悪の華』が有罪になったのは
公衆道徳良俗紊乱だったワケだが
これは簡単に言えば
政府が恋愛の歓喜の表現に対して
キリスト教に準じてナイ形態を容認するワケには行かなかったのだな

逆に自分がボードレールを高く買うのは
その禁断詩編だったりするんだがw

なぜか最近またボードレールを読む機会が多いけど
相容れナイ部分は増大してくばかりで
今まで好きな作家の中でも格別な引き立てがあったのが
不可解に思われてきたくらいだが
それでもレズビアンを高尚に詠ったこの男を
嫌いになる余地はナイんだよなwww

ボードレールは『悪の華』とゆータイトルを
時代が許せば『レスボスの女たち』としてたはずなのだ(*^^*)

ベランジェという詩人がいた―フランス革命からブルボン復古王朝まで





『良い人々の神』

『ベランジェという詩人がいた』は全くなんて面白いんだろう!

ほんの数ページしかじっと読んでいられナイほど
参照すべきキーワードが辺り一面に鏤められてて
それらを見つける度に他の本を手に取る

しばらく開いてなかった本、
最近別件で読んだ本、
買ったばかりの本・・・

まるで
旧友と再会したり、
親友と更に交友を深めたり、
新しい友達ができたり・・・
そんなカンジで本に対する愛情を再認識させられた

そしてついに出くわしたのだ♪
そもそもこの本との巡り会いのきっかけとなった
フローベールの『ボヴァリー夫人』の一節に!
自分を介して見知った友達同士だと思ったら
実は旧知の仲であった、みたいな?!
こうして本と本の絆を目の当たりにするのは
人と人の絆を目の当たりにするのと同じかそれ以上に
人生の醍醐味だ!!

本は著者の思想が詰まってるモノなのだから
ある意味人間同士以上に共鳴し合ってても不思議はナイが
人間同士なら時空の際限を超えて出会いようもナイのが
本とゆー形になって時代を巡り

さて本題に突入すると
ベランジェのシャンソンに『良い人々の神』とゆーのがあり
この歌の締め括りが

グラス片手に、私は、陽気に、
良い人々の神に心を捧げます。

となってるのだが
この神は当然ながら世界3大宗教の神なんかではナイw
酔っ払って祈るドコロか呑むコト自体がアウトだからねwww

この【良い人々の神】を信仰してるのは
『ボヴァリー夫人』の超脇役であるオメーで
オメーは理性によって物事を判断する科学的思考の持ち主で
教会の権威主義と信者の妄信によって作り出されたような
不条理な神などに平伏す必要はナイが
それはむしろ神を蔑ろにしてるのではなく
神を尊んでるからこそなのだ

『ベランジェという詩人がいた』

ベランジェは日本人には全く馴染みがナイ詩人・・・
正しくはシャンソニエだが
祖国フランスでさえも現代ではほとんど顧みられてナイようだ

自分も今までは全く興味がなく
なんとなくフランス革命~ナポレオン時代の詩人らしい・・・
くらいのぼんやりしたイメージしか持ってなかったし
そのぼんやりしたイメージさえも
実際に作品を知ってのコトではナイ

ベランジェの作品についての評価が
その当時の小説(スタンダールの『赤と黒』や
フローベールの『ボヴァリー夫人』)にあったのを読んで
注釈から機械的にインプットされただけに過ぎなくて
ベランジェって誰?
と改まって聞かれてもピンとこなかっただろう

アマゾンで検索しても1冊しか該当しなかったが
1冊でも見つかったのはむしろ奇跡的なコトなんではなかろうか?!

その希少価値である本の著者は林田遼右で
「あとがき」より河盛好蔵と師弟関係だったと判明し
すっかり気持ちを預けて読み出した(*^^*)

当然ながら決して権威主義なんでなく
その著書や訳書から直に伝わるその人となりに好感が持てるコトが
自分の敬意の対象なので
そういう意味で河盛に対して敬意を抱いてたワケだが
そんな河盛の身近な存在であり彼をリスペクトしてる林田遼右は
もうそれだけで同志として崇めたくなるんである

案の定ツボが近かったw
読み始めたら期待以上の面白さに止まらなくなり
夜を徹して読んでしまった・・・
しかもそのままこうして思うトコロを記さずにいられず
PCに向かってるんだからどうしようもナイね
今日はもう仕事する気が今の時点で全く起きてナイ
3時間後に無機質に出社しても眠気に勝てる自信もナイwww

でもそれくらい自分を夢中にさせるモノと巡り会えるなんて
本ト幸せだよな~。・゚・(ノД`)・゚・。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

■序章

国民詩人の死

■第一章 屋根裏部屋の青春

少年時代
貸本屋
リュシアン・ボナパルト
ペンを取れ、市民達よ!
シャンソンとポエム
≪カヴォ≫
韻文
≪ヴォードヴィルの夕食(デイネ)≫
≪サン=スーシ修道院≫
就職
友人への手紙
出版統制
≪カヴォ・モデルヌ≫
デゾージエ
替え歌
好色な歌
≪カヴェ・モデルヌ≫へ入会

■第二章 攻撃するシャンソニエ

帝政崩壊
『イヴトの王』
風見鶏
個性発揮
≪風見鶏騎士団≫
『新しいディオゲネス』
『リーズのための政治概論』
そこのけ、おいらの場所だ
白鳥の歌
御用詩人
初めての出版
『上院議員』
年金
ゴゲット
王の帰還
1816年
旧軍人
『カラバ公爵』
聖職者攻撃
イエズス会神話
鳥は戻る

■第三章 ブルボン王政との闘い

言論の自由
『風邪ひき男』
シャンソン戦争
「ミネルヴ」紙
『良い人々の神』
「コンスティテュショネル」
『古い軍旗』
第一回目の裁判
『良い神』
侮辱された王
判決
『おばあさん』
ポール=ルイ・クーリエ
サント=ペラジー監獄
裁判記録

■第四章 栄光につつまれた囚人

『検閲官』
第三シャンソン集
ラヴォカ
妥協しないベランジェ
殉教者通り(リュウ・デ・マルティール)
バルボンはまだ統治している
公判
出版社の責任
検事の反論
ラ・フォルス監獄
高い家賃
『囚人の火』
出獄
ナポレオン伝説(神話)
エミール・ドゥブロー

■第五章 さまよう共和主義者

七月革命
オルレアン派ではない
銀行家の王
『ラ・マルセイエーズ』
挿絵
ベストセラー
シャトーブリアン
なぜ祖国を離れるのか
パウロよ、どこへ行くのか
ロマン派の人々
後輩のシャンソニエ
栄光の頂点
ナポレオン三世

■終章

忘却
古稀

あとがき
年表
参考文献

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

いや~充実した内容だった!
何と言ってもラファイエットについての記述が
あちらにもこちらにも登場するのが
全く期待してなかっただけに嬉しさも一入!!

シャンソンとゆー庶民の文化が話題の中心なだけに
時代を体感できるカンジで
今までにもフランス革命~ナポレオン~王政復古と
この辺りは色々読んだけど
自分にとっては1番興味深い記述が多かったね

1つ残念なのは
ベランジェが『ネロン』とゆー詩を書いてた(と手紙にあった)のだが
この詩自体はこの本には掲載されてなかったのだ。(゚д゚lll)ギャボ
ネロンは間違いなくローマ皇帝ネロだろう

ベランジェがどんな詩を書いてたのか
つまりはネロをどう捉えてたのか
ネロヲタとしては非常に気になるトコロである。(´д`;)ギャボ

ベランジェという詩人がいた―フランス革命からブルボン復古王朝まで

『ボヴァリー夫人』のオメー

初めて『ボヴァリー夫人』を読んだ時からオメーの言動に心惹かれてる

オメーは薬屋なので
医者であるエンマのダンナのシャルルとはつるまざるを得ナイ間柄だが
それ以上にシャルルを盛り立ててくれる存在で
ボヴァリー夫妻にとってなくてはならナイ登場人物だが
著者フローベールにとっては『ボヴァリー夫人』の影の功労者だ

とはいえ、物語の流れを変えるような主要なキャラクターでなく
あくまで脇役で、いや、背景の一部のようでもあるから
主役のエンマになりきって読み進むと見過ごしてしまうだろうw
なんせオメーは伊達男ロドルフには「ふとっちょ」と呼ばれてるので
恐らくシャルル以下のルックスだろうから
エンマにしてみれば目の淵にさえ映って欲しくナイ男で
オメーが喋り出したトコロで飛ばし読みをしてしまうのがオチだな。(´д`;)ギャボ

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)

それでもデ・ゼッサントとは意見を分かつ(※)が
自分としてはオメーが魅力的だと思える。(゚д゚lll)ギャボ
ユイスマンスの『さかしま』の主人公デ・ゼッサントはオメーに否定的な見解だ

オメーは薬剤師で生業としては安定してるが化学的な世界観を持ってるヲタだ
お世辞にも綺麗とは言えナイが凡庸ながらしっかり者の奥さんと
名前は立派だがだからこそ名前負けしてしまってるであろう4人の子供に恵まれ
料理の腕が立つのは凝り性ゆえに拘りを発揮してるだけだろうが
りんご酒についての論文を書いてしまうに至るるる~

健全な人間生活と病的なヲタ生活が共存してて
そのバランス感覚が素晴らしいのだ!
とりわけオメーが【外道】だの【無信仰】だのと非難された時に
神と崇める人物と信仰の仕方について言い返した次の台詞には惚れ惚れした・・・
いや、惚れたね!!

私だって信仰はあるさ。私流の信仰がね。それどころか、奴ら全部が束になったよりよけい信仰を持っている。奴らの虚礼やごまかしよりもましな信仰を!無信仰どころか、私は神をあがめている!私は至高存在を信じている。創造主を信じている。それが何であろうと、そんなことはかまわない。私たちをこの世に送ってくれたもの、地上で公民としての、一家の父としての義務をはたすためにこの世に送ってくれたものをあがめている。しかし、私は、教会の中で、銀の皿に接吻したり、我々よりも上等のものを食っているたくさんの山師連中を、自分のふところを痛めてこやしたりするためにでかけて行く必要を感じない!造物主をあがめるのは、森の中でも、野原でも、それどころか、古代の人間がやったように、青天井を眺めてでも、できることだ。私の神、私のあがめる神は、ソクラテス、フランクリン、ヴォルテール、ベランジェの神だ!私は『サヴォワの助任司祭の信仰告白』と同じ立場に立つものであり、89年(大革命)の不朽の綱領にくみするものだ!それゆえ、私は、杖を手に花園を歩き廻ったり、仲間を鯨の腹中に宿らせたり、ひと声で叫んで死んだと思うと、三日後によみがえったりする神の子などというものを認めない。そういうことは、それ自体不条理であり、それに、完全に、すべての物理的法則にもとるものだ。ついでながら、このことは、司祭どもが常に恥ずべき無知蒙昧のうちにとどまり、のみならず世人をもその中にひきずりこもうと努力していることを、証明している。

他人に対して「信仰心がナイ!」などと責める輩は神とゆー名を騙った詐欺師だ
と思ってた自分の魂をオメーのこの熱弁が燃え上がらせられた

ソクラテス、フランクリン、ヴォルテール、ベランジェ(※)・・・
そして『サヴォワの助任司祭の信仰告白』はルソーの『エミール』なのだ
当時は不勉強でベランジェを知らなかったが近年になってから知り得て
オメーによって巡り会えたコトに感謝した(-人-;)

運命の相手に出会ってしまったような気がしたね
自分は科学が大好きだから科学を愛する人の気持ちがわかる

その中でも特に【生化学】は【生物】を【化学】で理性的に解明しようとする学問で
そこにはいつも生があり死がある
その刹那的な理(ことわり)を希求する時の甘美な恐怖心は
他に何も例えようがナイほどの酔い心地だ

万物が原子より成るコトを
そしてそこに不条理が入る隙のナイコトを
実感すればするほど圧倒的な摂理の支配者の存在を感じるし
その支配者はむしろ神などではナイように思える

ヴォルテールの皮肉のように
創造主は自分に似せて人間を作ったが
人間も自分に似せて創造主を作ったのだろう

些か話がズレてきたが
【生化学】の実践される生業には
医者とか薬剤師とか栄養士のような医療関連職種以外に
農業や畜産業、食品の製造業・加工業などもあり
ドイツ・ロマン派を愛好する人ならこれに錬金術師も入るのか(-_-;)?

自分も一時期そういう仕事についてみてわかったが
従事してる人が必ずしも科学を愛してはいナイとゆー不可解な事実だった

熱に浮かされたように信じる学説の論拠を語るなんて人は
ついぞ出会うコトはなかった・・・
好きな世界に身をおいててもやはり異端だったのだヽ(゚∀。)ノ

ワリとそんな風に孤独感を募らせてた時に
『ボヴァリー夫人』を読んでオメーに出会ったので
薬屋のオヤジであるオメーが農協主催の地域発表会みたいなモノに行くのを
近所のおかみさんが「百姓仕事と何の関係があるの?」などと訝しがるのに対して
薬剤師であり化学者なので
化学、つまり自然界の物質の組成を知らなくて
その相互作用によって収穫を得る農業に従事してるようではダメなんだ
と力説してキメ台詞が

わが農民諸君が化学者であって欲しいと思う。

そう、そう、そうなんだよ、と共感するコトしきり・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

この一方でオメーはグルメで酒飲みであり
フランス古典主義演劇を愛好し特にラシーヌについて造詣が深いのだが
これでハード・ロックとヘヴィー・メタルがわかれば理想的な男だ
いや、作中人物だったか・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

それにしても総ての女の中でオメーの奥さんが1番羨ましいな
もちろん彼女も作中人物だがなヽ(゚∀。)ノ